カップル, 花嫁, 愛, 結婚式, ベンチ, 残り

“恋愛”という身近なテーマを描いた恋愛小説。

 

ただ、恋愛小説と一口に言っても
学生時代の甘い恋、大人の恋、誰にも言えない秘密の恋、
など様々な形があります。

 

「何か読みたいけど、多すぎて選べない...」 そんな悩みをお持ちの方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで今回はおすすめ恋愛小説50選をご紹介します!

おすすめ恋愛小説50選

1. キッチン / 吉本ばなな

いくつもの昼と夜、私たちは共に食事をした。

  • <第16回泉鏡花文学賞受賞>
  • <第6回海燕新人文学賞受賞>

幼い頃に両親と祖父を亡くし、祖母と二人で暮らしていた大学生【桜井みかげ】。その祖母もさえも亡くし天涯孤独となった彼女は祖母の友人である【田辺雄一】とオカマバーを経営するその母(実は父)【えり子】が暮らす家に居候することになる。田辺家のキッチンで眠る生活の中で、風変わりながらも優しい田辺親子と徐々に打ち解けていく。第6回海燕新人文学賞を受賞した短編「ムーンライト・シャドウ」も収録。

「身近な人を亡くしたら」
とても重いテーマで描かれている作品ですがその悲しみを受け止めていく【みかげ】と【雄一】の本当の”家族”のように寄り添う姿、その状況から”前へと踏み出していく”までの心の移り変わりが描かれています。

何気ない温かさ、優しさが感じられる飾り気のない描写がじんわりと沁みていく作品です。

「ムーンライト・シャドウ」も死別をテーマとした作品。どうしようもない寂しさを抱えている人に是非一読していただきたいおすすめの名作です

2. 黄色い目の魚 / 佐藤多佳子

16歳、絵を通じて出会うもどかしい二人の青春。

絵を描くことが好きな【木嶋悟】。イラストレーターである叔父以外の周囲に馴染むことができない【村田みのり】。海辺の高校で同級生として出会った二人は美術の授業をきっかけに次第に距離を縮めていく。

青春時代ならではのもどかしさと切なさがを等身大の言葉とどこか懐かしさも感じる情景描写で綴られています。

文章自体も読みやすいので普段、小説を読まない方にもおすすめできる作品です。

【中古】黄色い目の魚(さかな) /新潮社/佐藤多佳子 (文庫)

3. ノルウェイの森 / 村上春樹

愛と死の物語。主人公が選ぶ結末とは

37歳の【ワタナベトオル】は空港で耳にしたビートルズの「ノルウェイの森」をきっかけに自殺した友人【キズキ】、その恋人だった【直子】、大学で知り合った【緑】との学生時代を振り返っていく。

国内累計発行部数1000万部以上の大ベストセラー。村上春樹さんの代表作とも言える作品です。

60年代末、学生運動という混乱を背景に心を病んでいく直子と天真爛漫な緑、そしてどこか影を抱えた周りの人たちとの関わりの中で<愛><生と死>について想いを馳せる主人公を独特の描写や感情表現で詩的に描かれています。

4. 夜は短し歩けよ乙女 / 森見登美彦

偶然のすれ違いになるか、運命の出逢いになるか

  • <第20回山本周五郎賞受賞>
  • <第137回直木賞候補選出>
  • <2007年本屋大賞第2位>

同じクラブの後輩である【黒髪の乙女】に恋をしている【先輩】。奥手ながらも距離を縮めるために<なるべく彼女の目に留まる>【ナカメ作戦】を実行。日々彼女を追いかけるも、結果はいつもうまくいかず。そんな2人が個性的な人物たちと出会い、時には現実離れした奇妙な事件に巻き込まれる恋愛ファンタジー。

2017年にはアニメーション映画にもなっており星野源さんや花澤香菜さんの起用、キャラクター原案を中村佑介さんが務めたことでも話題になりました。

【先輩】【黒髪の乙女】の2人の視点から交互に物語が描かれていきます。コミカルなセリフ回しや個性的な登場人物でクスッとなりながらもその魅力にハマると一気に読んでしまう作品です。

5. ツ、イ、ラ、ク / 姫野カオルコ

圧倒的エネルギーで描かれた渾身の恋愛小説。

地方の小さな町。閉じ込めたような空気。14歳の【隼子】は彼に出逢った。ただ、出逢っただけだった。あの雨の日に、小さな事件が起きるまでは。

息をすれば鼻をついて思い出すような胸が詰まる、懐かしい情景と若かりし頃のリアルや性欲、葛藤、関わりがとてもエネルギッシュに描かれており読みながらいろんな感情が目を覚ます感覚に見舞われます。

狭い社会、情景、登場人物たちの成長、“堕ちていく恋”を眺めながら自身の消せない痛みに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

6. きみはポラリス / 三浦しをん

それは冷たいほど遠くから、不思議な引力をまとって

秘密を抱えた2人、同性愛、親子愛、夫婦愛、友情
様々な<恋愛>のかたちを全11編で綴った短編小説集。

好きな人へ手紙を書く友人と俺、息子を溺愛する妻と夫、過去に秘密を抱えた2人、ひとつとして同じものがない、外からは少しわかりづらくも当人は気づくことができる<恋愛>のかたちを描いており全11編、それぞれにテーマが異なるため新鮮な気持ちで読むことができます。

1編が30〜50ページほどと短いので読書の習慣がない方やこれから読書を趣味にしたい方にもおすすめです。

7. 植物図鑑 / 有川浩

冬の晩、家の前で「拾った」男性との奇妙な生活

『お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか』
ある冬の晩。OLの【さやか】は植物オタクの男性【樹】を拾ってしまう。家事全般を任せることを条件に同棲生活を始めた2人の物語。

2016年には岩田剛典さん、高畑充希さん主演で実写映画化もされています。

ひょんなことから出会った二人が徐々に惹かれあっていく様子がとても可愛らしく描かれています。

また、作中に出てくる”野草料理”のレシピも付いており料理本として楽しむこともできます。実際に作中に出てくる料理を味わうことでより深く物語に入り込むことができる、という珍しい作品です。

8. 百瀬、こっちを向いて。 / 中田永一

苦く残酷な中に光るピュアな気持ち

<薄暗い電球>と自分を揶揄する高校2年生の【ノボル】に性格も正反対の美少女【百瀬陽】という”恋人”ができる。しかしそれには残酷で切ない理由があった。

表題作「百瀬、こっちを向いて。」他、「なみうちぎわ」「キャベツ畑に彼の声」など若い世代の淡く切ない恋愛模様を描いた短編集。
読了後にはタイトルに込められた想いに改めて気づくことになると思います。

9. いま、会いにゆきます / 市川拓司

映画・ドラマ化もされた感動作

1年前に最愛の妻【澪】を失くした【巧】は6歳になる一人息子【佑司】と2人で暮らしていた。そして巡ってきた雨の季節。父子に奇跡が訪れる。

作品発表直後から大きな話題を呼び竹内結子さん、中村獅童さん主演で映画化もされその後にドラマ化もされた有名作です。

<死>という避けようのない別れと向き合いながらも愛しい存在にまっすぐに伝えられる純粋な家族の姿を通して <愛>だけではなく<幸せとは?><生きることとは?>という人生のテーマについても考えさせられる作品です。

10. 君の膵臓を食べたい / 住野よる

余命1年。死ぬ前にやりたいことを

<2016年本屋大賞第2位>

高校生の【僕】は<共病文庫>という一冊の文庫本を拾う。それはクラスメイトの【山内桜良】が綴った秘密の日記帳だった。そこには彼女の余命が膵臓の病気により長くないことが記されていた。興味本位で覗いてしまった本をきっかけに生まれた僕と彼女の青春物語。

2017年に実写映画化、2018年にアニメ映画化もされた話題作。

一見すると怖い印象もあるタイトルですが限られた時間を前向きに過ごしていく
桜良との交流を通して変わっていく僕に共感できた時、タイトルを口に出して読んでみたくなると思います。

11. 博士の愛した数式 / 小川洋子

<ぼくの記憶は80分しかもたない>

<第55回読売文学賞受賞> <第1回本屋大賞受賞>

家政婦として【私】が派遣された先は元数学者【博士】の家。数学のみをこよなく愛す博士の背広には<ぼくの記憶は80分しかもたない>と書かれた古びたメモが留めてあった。そのうち10歳になる私の息子も加わって、ぎこちない日々は驚きと喜びに満ちたものに変わっていく。記憶力を失った博士と母子の愛の物語。

毎年4月に発表される「本屋大賞」の第1回大賞受賞作。寺尾聡さん、深津絵里さん主演で実写映画化されたことでも話題となりました。

穏やかに流れる日常を描いており驚きの展開や刺激、というよりはじんわりと沁みていく作品です。

数学を愛し、それ以外のことは不器用な【博士】とそれを取り巻く周囲の人々との日々に心が温まります。

12. 息がとまるほど / 唯川恵

不倫、嫉妬、裏切り。まさにそれは

同僚の男性にプロポーズされたことをきっかけに不倫中の上司との関係を清算を決意する【朋絵】。しかし最後のデートを後輩に目撃され…黒々とした愛、嫉妬や裏切り心の奥深くに沈む女性の思いを強烈に濃密に描いた全八編の恋愛短編集。

20代、30代の女性たちの嫉妬心やそこへ生まれる優越感などドロドロとした感情をこれでもかと表現しています。

「あくまで小説」と割り切れない、現実味を帯びた内容に苦しさ、そして怖さも感じます。女性はもちろんのこと男性も一読の価値があるのではないでしょうか。

13. 流れ星が消えないうちに / 橋本紡

忘れることができない、強い想い

【奈緒子】は突然の事故で恋人【加地】を失くして以来、気持ちの整理がつけられず自分の部屋で寝られなくなった。その頃、加地の親友だった【巧】は自分のあり方を見つめ直していた。悲しみの果てで向かい合う心と切なさを描く愛の物語。

心理描写がとても巧く、共通の輝きを失った悲しみから抜け出せずにもがく2人がそれでも前に進んでいく姿には心が動かされます。

2015年には波瑠さん主演で実写映画化もされていますので興味がある方はそちらもチェックしてみてください。

14. 僕の好きな人が、よく眠れますように / 中村航

“運命の人”との許されない恋

東京の理系大学で研究をする大学院生の【僕】。そこへゲスト研究員としてやってきた【斉藤恵】。運命の人に出会えたと感じる僕だが彼女には誰ともつきあえない理由があった。禁断の関係とは知りながらも距離を縮めていく2人の恋の物語。

不安が常に付き纏う”許されない関係”の中で織りなされる純粋な恋模様や、思いがけずハッとさせられるフレーズに時間を忘れて引き込まれてしまいます。

15. 五つ数えれば三日月が / 李琴峰

5年間、消えなかった伝えられぬ想い

<第161回芥川賞候補選出>

日本で働く台湾人の【私】は結婚して台湾に移住した友人【実桜】と東京で5年ぶりに再開をする。消えない想いを抱えたまま。

女性同士の同性愛を描いた作品です。伝えられない想い、“友人”という領分を越えないよう敏感に相手の動きを感じ取ってしまう描写は、性別を問わず、切ない感情が胸に込み上げてきます。

第161回芥川賞候補にも選出されており、まっすぐな恋愛の描写、切実さが評価されています。

16. いちご同盟 / 三田誠広

15歳の少年少女。恋と友情と生と死。

高校受験や将来に悩み、死も考えていた中学三年生の【良一】は野球部のエース【徹也】を通じて、重症の腫瘍で入院をする少女【直美】と知り合う。彼女を慰めていたある日、直美が突然良一へ言った。「あたしと、心中しない?」

15歳、危うく繊細な少年少女の<恋愛>や<友情>、そして<生と死>で揺れ動く心情が見事に描かれています。

1990年の作品なので今の10代が読むとセリフや描写にところどころ違和感があるかと思いますが、登場人物の心の動きや直面する悩みには深く共感できる部分も多いのではないでしょうか。

17. マチネの終わりに / 平野啓一郎

恋の仕方を忘れてしまった大人に

<第2回渡辺淳一文学賞受賞>

若くしてクラシックギターの最前線で活躍してきた38歳の天才ギタリスト【蒔野】はある日、友人との食事会で40歳、通信社記者【洋子】と知り合う。出会った瞬間から惹かれあった2人だが、洋子には婚約者がいた。東京・ニューヨーク・パリバクダットを舞台に描かれるすれ違い、求め合う大人の恋愛物語。

どちらも「40歳」だからこその選択や心情が描かれており、同世代の方は共感を下の世代の方は大人の雰囲気を味わうことができます。

恋の仕方を忘れてしまった、後悔と向き合いきれない大人たちの切なさが時におかしく、心地良い余韻を残してくれる作品です。

18. ナラタージュ / 島本理生

直木賞作家・島本理生が描く王道恋愛小説

<第18回山本周五郎賞候補選出> <2006年本屋大賞第6位>

大学二年生の夏、【泉】のもとに高校時代に想いを寄せていた母校の演劇部顧問【葉山先生】から連絡が来る。後輩の舞台への客演を依頼された彼女は先生への想いを改めて思い出す。そして、彼の中にも消せないものがあり…

どうしようもない気持ち、心の奥底に秘めたリアルな感情描写が印象的な作品です。文章自体やセリフも心に残るきれいなフレーズで見事に表現されており、読み進めるうちに自然と引き込まれていきます。

19. パイロットフィッシュ / 大崎善生

優しく透明感のある追想物語

<第23回吉川英治文学新人賞受賞>

アダルト雑誌の編集長【山崎】はかつての恋人【由希子】からの19年ぶりの電話をきっかけに過去に関わった人々や出来事を追想していく。

主人公を中心に様々な人々、出来事が描かれた作品。登場人物もとても魅力的でそれぞれにどこか寂しく、そして温かい気持ちを感じることができます。

過去の青春を振り返る追想の旅を主人公とともに辿っていき優しさ、温かさに触れながら、読了後には心地よさと少しの人恋しさが残る作品です。

作者・大崎善生さんはこの作品で吉川英治文学新人賞を受賞。無駄のない透明感のある文章と巧みな起伏表現についても評価されています。

20. 肩ごしの恋人 / 唯川恵

ユーモラスに描かれた等身大女性の姿

<第126回直木賞受賞>

恋にのめり込むことを怖がる【萌】。わがままで自分勝手な【るり子】。正反対な性格を持つ"二人の女性"の生き方を通して見える女の幸せ、家族のあり方とは。

作者は前述紹介した「息が止まるほど」の唯川恵。「息が止まるほど」とは異なり女性のたくましさや切なさがユーモラスも交えながら描かれています。登場人物同士の軽快な会話の中にさりげない面白みが光る作品です。

2007年にはテレビドラマ化もされています。

21. 娼年 / 石田衣良

欲望の不思議に魅せられる、ひと夏の物語

<第126回直木賞候補選出>

恋愛にも大学生活にも楽しみを見出せない20歳【リョウ】。ある日、バイト先のバーで会員制ボーイズクラブのオーナー【御堂静香】に誘われたことをきっかけに<娼夫>の仕事を始める。様々な女性と関わる中で、そこに潜む欲望の不思議に見せられていく。

「池袋ウエストゲートパーク」「4TEEN」で有名な石田衣良さんの小説。2018年に松坂桃李さん主演で映画化もされています。

性的描写も多くありますが、静かな文体で人間の奥深さを描いており、読みやすい内容となっています。

22. すべて真夜中の恋人たち / 川上未映子

ひとり彷徨う夜に灯る、かけがえのない光

フリーで校正の仕事をする34歳の【冬子】。人と言葉を交わすことにすら自信が持てず、趣味といえば誕生日に真夜中の町を散歩することだけ。そんなある日、カルチャーセンターで初老の高校物理教師【三束】と出会う。彼に触れたいと思い始める冬子だが、彼女には高校時代に刻まれたある記憶があった。

孤独を抱えた登場人物たちがぎこちないながらも惹かれあっていく姿を、真夜中にキラキラと光るような美しい文章で綴られた作品。

誰もの身近にあるさみしさや哀しさ、せつなさを眺めるうちに愛おしさにも似た感情がじわじわと込み上げてきます。

23. ひらいて / 錦矢りさ

暴走する恋が求めるものは

人気者の女子高生【愛】が恋をしたのはどこか影のある冴えない男子【たとえ】だった。しかし、愛のアピールにも彼は興味を示さない。そんなある日、彼が階段下の死角で手紙を読んでいるのを見かける。盗み見たその手紙の相手は、病気を抱える同級生の【美雪】だった。「なぜ美雪が彼と付き合っているの」思い通りにならない恋に愛の行動は予期せぬ方向へと向かっていく。

一見、ティーンズのよくある三角関係のようですが、主人公のとんでもない行動を発端にその様相がどんどんと奇妙な愛憎関係に変わっていく展開はこちらの予想を上回る凄まじさがあります。

単純な”恋愛模様”ではなく、その裏にもっと大きな、哲学的なテーマも見え隠れさせる鋭い心理描写は圧巻。2回、3回と読み返すたびに新たな発見のできる作品です。

ひらいて (新潮文庫)[本/雑誌] (文庫) / 綿矢りさ/著

24. ジョゼと虎と魚たち / 田辺聖子

読んだ後、人恋しくなる短編集

足の不自由な女性と青年の不思議でエロティックな関係を描く「ジョゼと虎と魚たち」他、オトナ女性の様々な愛と別れなどを描いた短編、全九編からなる短編集。

特に表題にもなっている「ジョゼと虎と魚たち」は妻夫木聡さん、池脇千鶴さん主演で映画化されたことでも話題になりました。

足が不自由でほとんど外出をしたことがない【ジョゼ】と大学を出たばかりの青年、【恒夫】がひょんなことからお互いに惹かれあっていく様子が描かれています。

色々な立場や想いが関わってくるテーマながらも<恋愛>として純粋に、素直に描かれており切なく愛おしい登場人物に心が温まる作品です。

25. 恋愛中毒 / 山本文緒

どうか、他人を愛しすぎないように

<第20回吉川英治文学新人賞受賞>

もう他人を愛さない。固く閉ざした【水無月】の心に強引に踏み込んできた小説家の【創路】。調子がよく、女にもだらしない創路と接するうちに水無月の中で抑えていたものが湧き上がってくる。

「人を愛する」ことに限度がなくなったら…淡々と進んでいた話が狂っていく様子は鳥肌が立ちます。

特に最後は”ホラー小説”のような展開に。極端な話、と思いながらも登場人物にどこか共感してしまう自分に一番ゾッとするかもしれません。

2000年には薬師丸ひろ子さん主演でテレビドラマ化もされています。

26. 空と海のであう場所 / 小手鞠るい

物語の中に見つけた想いを紐解いて

イラストレーターとして活躍する【木葉】の元に童話の絵を描いて欲しい、との依頼が入る。しかし、その童話の作者はかつての恋人【アラシ】だった。一編の物語をきっかけにアラシへの想いを回想する木葉。そして、物語に込められたアラシの想いに気づき始める。

出会いと別れを繰り返しながらも想い合い、惹かれ合う2人の姿が美しい風景描写や作中に登場する物語によってより繊細に表現されています。

おとぎ話を読んだ後のように透明で澄んだ感覚を残してくれる作品です。

27. 金米糖の降るところ / 江國香織

男女でも親子でもない”姉妹”という存在。

ブエノスアイレス近郊、日系コロニアで育った2人の姉妹【佐和子(カリーナ)】と【ミカエラ(十和子)】。小さな頃から<お互いのボーイフレンドを”共有すること”>をルールにしていた。姉妹は留学のため来日した際に【達哉】という男性に出会う。達哉に交際を申し込まれた佐和子は姉妹のルールを破り、日本で彼と結婚をする。一方、達哉に好意を持っていたミカエラは父親の分からぬ子供を妊娠し、アルゼンチンへ帰国。娘【アジェレン】を出産する。そして20年後、佐和子は突然、達哉に離婚届を残して故郷アルゼンチンへ帰国をする。

“姉妹”をテーマに描かれた本作。<男女>や<親子>ともまた違った奇妙な関係が描かれています。

登場人物たちの行動は、私たちから見ると突拍子もなかったり理解できない部分もあるかと思いますが自らにまっすぐな彼女たちの魅力にきっと惹かれると思います。

また、江國さんは表現力も非常に豊か。独特のおしゃれな文章に引き込まれるうちにあっという間に最後まで読めてしまいます。

28. それもまたちいさな光 / 角田光代

“ときめき”って何だろう。そんな大人に読んでほしい作品。

デザイン会社に勤める35歳独身の【悠木仁美】。現状に不満はないけれど、このまま結婚もせず歳をとっていくことに不安を感じていた。そんな彼女には恋愛に踏み込めない、煮え切らない関係を続けている【駒場雄大】という幼馴染がいた。2人のストーリーが様々なシーンで流れるラジオ番組<モーニングサンシャイン>を軸に周囲の人々の恋愛模様と共に描かれる恋愛群像劇。

「八日目の蝉」「紙の月」でも有名な角田光代さんの小説。TBSラジオ開局60周年のコラボレーション企画として発表され、ラジオドラマ化もしています。

恋愛までに踏み込めない主人公や女友達同士の関係性など“人との距離感”がとてもリアルに描かれており同年代の女性が共感しやすい内容になっています。

また、登場人物の話す内容にもどこか説得力がありふとした時にその場面を思い出してしまうほど印象深い会話が多いのも魅力です。

29. 無銭優雅 / 山田詠美

贅沢はしない、まっすぐな「大人の恋」

友人と花屋を経営する42歳の【慈雨】。未だに実家暮らしから抜け出せない彼女が西荻窪のジャズバーで出会ったのは同い年の予備校教師【栄】。「心中する前の気持ちで、つき合っていかないか?」贅沢はできないけれど、生活には困らない。大人の2人が人生の後半にはじめた恋。

「心中」という言葉にどきっとしますが内容はドロドロと重いものではなく42歳、大人の2人がまっすぐに、お互いをさらけ出しながら恋をしていく様子をエッセイのように描いた作品です。

「素敵でおしゃれな大人の恋」というよりは「実際には大人もこんな風に恋愛するのかも」という内容になっています。特に慈雨と栄のやり取りは読んでいる方が恥ずかしくなるほど素直です。

30. センセイの鞄 / 川上弘美

素直にはなれないけれど、ただそばで生きていたい

<第37回谷崎潤一郎賞受賞>

駅前の居酒屋で高校時代の恩師【松本春綱(センセイ)】と十数年ぶりに再会した【ツキコさん】。以来、他愛ない話をしながら肴をつまみ酒を飲み交わすのが習慣になっていく。そのうちにセンセイの家やキノコ狩り、花見にも出かけるようになった。37歳のツキコさんと30以上歳の離れたセンセイのゆったりとした、切なくあたたかい交流の物語。

愛し合いながらも顔を合わせれば軽口をたたき合ってしまう、人に甘えることが苦手な不器用な大人に愛おしさを感じてしまいます。

また、年齢的に「死」というものが常に近くにある雰囲気、それに対する登場人物たちの心情が表現豊かに描かれておりあたたかさ、切なさがじんわりと心に沁みる作品です。

31. 狂王の庭 / 小池真理子

耽美で、危うい、大人の恋

戦後間もない昭和27年、国分寺。元華族の裕福な家に嫁いだ30歳【沓子】。彼女が恋をしたのは妹の婚約者であり独自の美学を貫く27歳の貴公子【青爾】だった。

夫がありながら妹の婚約者と激しい恋に身を焦がすという、「不倫」ジャンルの中でも逃れようのないほど破滅的な恋の物語。

…ではありますが、そんなドロドロとした内容を見事なバランスで美しく描いており危うい関係と知りながらも惹かれていく心の動き、会話に潜むムードの魅力にどんどんと引き込まれてしまいます。

32. ふたつのしるし / 宮下奈都

「しるし」で結ばれた奇跡の出会い

目立つことを避け、眼鏡で顔を隠しながら息をひそめるように生きる【遥名】。早くに母を亡くし、周囲に溶け込めずにいる【温之】。遠く離れた場所で過ごしていた二人の”ハル”。あの3月11日に「しるし」に導かれて東京で出会う。

2018年に山崎賢人さん主演で実写映画化され話題になった「羊と鋼の森」の作者でもある宮下奈都さんが描く恋愛物語。

幼少期から出会いまでを時期ごとに描いており登場人物の背景や心情の変化を追いながら物語は進みます。

周りに馴染むことができない、不器用な二人の物語を読み進めるうちにまるで見守っているような、温かい気持ちが湧いてくる作品です。

33. ほかならぬ人へ / 白石一文

自分に裏切られながら生きていく

<第142回直木賞受賞>

財閥系の家系に生まれた父、優秀な兄たち。エリート家系の中で劣等感を抱いていた27歳の【宇津木明生】は大手スポーツメーカー就職後に出会った【なずな】と周囲の反対を受けながらも結婚をする。しかし、なずなから別の想い人の存在を打ち明けられる。明生は妻に裏切られた失意の中、相談をしていた職場の先輩【東海倫子】に惹かれていく。表題作「ほかならぬ人へ」に加え「かけがえのない人へ」も収録。

どちらも不倫を題材にしており”ベストなパートナーとは?”に悩む登場人物が描かれています。人物背景や周囲の関しても緻密に描かれているので没入しやすい作品です。

34. 陽だまりの彼女 / 越谷オサム

初見はびっくりの結末に注目。すぐ再読したくなる一作

交通広告代理店で営業職についた【奥田浩介】は取引先の会社で中学の頃の同級生【渡来真緒】と再会する。中学1年時、浩介の学校に転校してきた真緒は注意力散漫、勉強もできず馬鹿にされイジメられていた。十数年を経て美しく、仕事もできる女性に変貌した真緒に浩介は徐々に惹かれていくが、彼女は浩介の知らない過去を抱えていた。

2013年に松本潤さん、上野樹里さん主演で実写映画化もされた本作。

主人公がとにかく可愛らしいので読みながらほのぼのとした温かい気持ちになれます。

そして話はまさかの展開へ…

結末は人によって意見が別れますが個人的にはハッピーエンドだと思います。読了後に改めて読み直したくなる作品です。あと、猫を飼いたくなります。

35. 花宵道中 / 宮木あや子

叶わぬ恋を胸に秘め、抱いて抱かれる遊女たち

<第5回R18文学賞受賞>

初めて愛した男の前で客に抱かれる【朝霧】。片思いに悩みながら初見世の時期を迎えた【茜】。実の弟への想いを秘める【霧里】。江戸時代末期、新吉原の遊女たちの儚く切ない物語を官能的に描いた作品。

2014年に安達祐実さんが主演で実写映画化もされています。

”遊女”という立場で様々な想いに悩む登場人物がとても儚く、胸が締め付けられますがその姿にどんどんと惹かれていきます。

一連の話が繋がっているのでそれぞれの視点から物語が綴られる点も魅力です。

36. 九月の恋と出会うまで / 松尾由美

時空を超えて奇跡を起こす恋愛×ファンタジー

2004年、夏。旅行代理店で働く【北村詩織】は隣人トラブルがきっかけで芸術活動をしている人だけが借りられるアパートへ引っ越しをする。そんなある日、壁にあいた穴から<”1年後の今日”を生きている>という小説家志望の【平野進】から話しかけられる。そして、翌日の新聞の見出しを次々と当てる平野から「2004年の平野進」の尾行をお願いされる。

2019年に高橋一生さん、川口春奈さん主演で実写映画化もされています。

“1年後の未来とのやりとり”というファンタジー的な要素もあり展開がどうなるのかをテンポ良く追っていくことができます。最後にはえっ!と驚くような展開も待っているのでそういったドキドキが好きな方にもおすすめです。

37. 愛の夢とか / 川上未映子

生活の中に染み込んでいくような読了感

<第49回谷崎潤一郎賞受賞>

ピアノをきっかけに生まれた主婦と隣に住む初老の女性との交流を描いた表題作「愛の夢とか」。“その小説家が死んだら必ず会うことにしよう。”別れた恋人とした高校時代の約束を果たすため植物園に向かう「日曜日はどこへ」他。日常の中で放たれる様々な光を切り取った全7編の短編集。

上記で紹介をした「すべて真夜中の恋人たち」の作者でもある川上未映子さんの短編集です。

あっと驚く展開や奇跡はなく何気ない日常の中でぼんやりと浮かんで消える、そんな物語が集まっています。どの作品も文章表現がとても美しく“物語”というよりも“詩集”を読んでいるような気分になります。

38. ライオンハート / 恩田陸

時代を超えて何度も巡り会う男女

17世紀のロンドン・19世紀のシュプール20世紀のパナマ・フロリダ…あらゆる時代に生まれ変わり、ほんの一瞬の出会いを繰り返す【エリザベス】と【エドワード】の奇跡を描いたラブストーリー。

作者は2019年に実写映画化された「蜜蜂と遠雷」でも話題となった恩田陸さん。

ラブストーリーとしては異色な「輪廻転生」の要素が含まれる作品ですがSFの難しい知識は必要ありません。何度もすれ違いながらそれでも求め合う二人の姿を追う内にしっかりと物語に引き込まれてしまいます。

39. カソウスキの行方 / 津村記久子

恋愛”しない”。仮想好きの物語

<第138回芥川賞候補選出>

28歳、独身、彼氏なし。郊外の倉庫に左遷された【イリエ】。恋をしたいわけじゃないし、どこかにロマンスの気配がするわけでもない。やりきれない毎日の気晴らしに同僚の【森川】を好きになったと仮定してみる。そんな奇妙な「仮想好き」の迎える結末とは…

今回、恋愛小説の特集ではありますが…こちらは恋愛”しない”小説になります。

主人公は結婚適齢期を迎えながらも特に誰かと付き合いたい願望もありません。なんだか気の抜けてしまう設定の彼女ですが仕事が完璧にこなせるわけでもなく人間関係も別段上手でもない、本当に身近にいそうな存在感が魅力的に描かれています。テンションは低めが好き、という方におすすめしたい作品です。

40. 男ともだち / 千早茜

恋人ではない、かけがえのない存在

<第151回直木賞候補選出>

関係の冷めた恋人【彰人】と同棲しながら医者の【真司】との愛人関係を続ける29歳、イラストレーターの【神名葵】。そんな彼女の元に大学時代の先輩【ハセオ】から連絡が来る。

お互いのことを一番理解し合いながら恋人関係にはならなかった”男ともだち”。7年ぶりに2人は再会をする。

男女の友情を描いた本作。現実に成立するかどうか、様々意見があるかと思いますがここまで気のおけない”男ともだち”の存在は人生においてかけがえのないものになると感じます。

41. 生きてるだけで、愛。 / 本谷有希子

行き場のない、別れることができない自分と

<第135回芥川賞候補選出> <第20回三島由紀夫賞候補選出>

コンパで知り合った【津奈木】と同棲を始めて3年。母親譲りの躁鬱病、過眠症により引きこもり生活を続ける25歳【寧子】の元に津奈木の元恋人【安堂】がやってくる。津奈木と別れ、部屋を出て“自立”をするよう安堂は寧子に迫り始める…

2018年に趣里さん、菅田将暉さん主演で実写映画化もされています。

自己意識が非常に高く、それでも他人を求めてしまう。実際にはここまで極端ではないですが現代の思想、人間関係に漂う雰囲気を持った主人公の姿がとても印象的です。

また、作者が劇作家ということもあり登場人物のセリフ回しも面白く、舞台を見ているような臨場感があります。

42. 僕らのごはんは明日で待ってる / 瀬尾まいこ

どんな試練も2人なら乗り越えていける

兄の死以来、人付き合いもせず人の死に関する本ばかり読んでいる高校生【亮太】。高校最後の体育祭をきっかけに天真爛漫な【小春】と距離を縮めていく。打ち解け、時には別れを経験しながらも困難に立ち向かい成長する2人の物語。

2017年に中島裕翔さん、新木優子さん主演で実写映画化もされています。

過去を抱えた2人が"共に生きたい"と、もがきながらお互いの内側に触れる様子に心が揺さぶられます。

乗り越えた先にまた困難が来て、重たくのしかかる部分もありますが温かい気持ちになれる作品です。読後には本のタイトルが愛おしく感じられると思います。

43. カフーを待ちわびて / 原田マハ

沖縄情緒あふれる、”偶然”始まる恋模様

<第1回「日本ラブストーリー大賞」大賞受賞>

沖縄県。7年前に亡くなった祖母から引き継いだ雑貨店を営む35歳の【友寄明青】。のんびりと暮らす彼の元に【幸】という見覚えのない女性から手紙が届く。「絵馬の言葉が本当なら、私をお嫁さんにしてください」それは数ヶ月前、明青が旅先の神社で「嫁に来ないか。幸せにします」と冗談で書いた絵馬に対しての返信だった。やがて、幸と名乗る女性が現れる。

2009年に玉山鉄二さん、マイコさん主演で実写映画化もされています。

“不思議なきっかけ”と”ミステリアスな女性”小説好きにはたまらない要素。沖縄の綺麗な情景を舞台に織りなされる物語は読む人を幸せな気持ちにしてくれます。

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44. よだかの片想い / 島本理生

恋をして変わっていく、純粋さが光る一作

生まれつき顔に大きなアザがあることが原因で恋愛や遊びに距離を置いている24歳、大学院生の【前田アイコ】。ある日、中学からの友人【まりえ】から“顔にアザや怪我がある人たち”を題材にした本の取材協力に誘われ、本の表紙を飾るとなんとその本が映画化されることとなる。それをきっかけに出会った映画監督の【飛坂逢太】にアイコは恋をするが…

上記で紹介をした「ナラタージュ」の作者でもある島本理生さんの作品です。

自分の殻に閉じこもってしまった女性が恋をきっかけに成長をしていく話。負い目を感じてしまう不器用さを抱えながらも周囲の温かさに触れ、前へ進もうとする素朴で純粋な主人公の姿に励まされます。切ないけれど、さわやかな作品です。

45. 人のセックスを笑うな / 山崎ナオコーラ

不器用でかっこ悪くても、かけがえのない恋

<第41回文芸賞受賞>

美術専門学校に通う19歳【みるめ<オレ>】は既婚者でみんなから人気な絵の講師、39歳【ユリ】に絵のモデルを依頼されアトリエに赴いたことをきっかけに付き合うようになる。不倫関係とは分かりつつもずっと続くと思っていた関係に徐々に変化が訪れて…

「美しい距離」「論理と感性は相反しない」などの小説のほか、「指先からソーダ」などのエッセイでも有名な山崎ナオコーラさんのデビュー作。

2008年には松山ケンイチさん、永作博美さん主演で実写映画化されたことでも話題になりました。

20歳差のカップルの話ですがめんどくさがりでどこか抜けているユリと冷静を装いながらもひたむきなみるめは年上、年下という考えをあまり感じさせません。

タイトルのインパクトや不倫という要素に目がいってしまいますが移ろう心の切なさ、純粋に人を想うことの儚さが描かれた純愛作品です。

46. 平場の月 / 朝倉かすみ

50歳、晩年に差し掛かった”元”中学生の二人

<第32回山本周五郎賞受賞>

50歳の【青砥】は検査で行った病院の売店で中学の同級生【須藤】に再会する。当時、告白した青砥を振った女性だ。偶然の再会をきっかけに心の隙間を埋めるような二人の交流が始まる。そんな矢先、須藤の大腸癌が発覚する。

晩年に差し掛かった男女の寂しさやこれまでの人生遍歴からくる人生観などを切り取った作品になっており、単純に「恋愛物」ではなくより奥深い内容になっております。

47. だれかのいとしいひと / 角田光代

恋愛とも友情とも違う、言葉にできない関係

“転校生”じゃない、という理由で彼氏に振られてしまった女子高生、同棲をしていた元恋人の部屋にポスターを盗むために忍び込むフリーライター、“キス”に対して強いこだわりをを持つ男性。どんな型にも当てはまらない、日常からはみ出した8編の物語を集めた短編集。

ストーリー自体は劇的な内容ではなくどこにでもあるような日常を描いていますがはっきりと言葉にすることが難しい感覚や心の動きが非常に上手く表現されており、読後はストーリーよりも、その雰囲気が不思議な後味として残る作品となっています。

48. 錦繍 / 宮本輝

“14通の手紙”で綴られる再生の物語

10年前に別れた夫婦、35歳の【勝沼亜紀】と37歳の【有馬靖明】は蔵王のゴンドラ・リフトで偶然再会したことをきっかけに文通を始める。離婚のきっかけになった不倫のこと、空白の10年間のこと、現在の生活のこと。”手紙”が語る物語とは…

二人の間でやり取りされる”14通の手紙”を中心に物語が展開されていきます。

台詞や心理描写ではない、相手に伝えるために綴られた”手紙”が二人の感情や心の動きをよりリアルに表しており、深く心に刺さる内容となっています。何度でも読み返したくなる作品です。

49. スローグッドバイ / 石田衣良

「少しだけ特別な出会いと別れ」を集めた短編集

別れに際して、最後に思い出の場所へ行くカップル。失恋で泣けなくなってしまった女の子。ネット上で出会った女性に惹かれる男性。付き合う”ふり”を始めた男女。普通の人たちのちょっとだけ特別な出会いと別れの物語、10編をまとめた短編集。

恋愛のときめきや別れの切なさが爽やかなタッチで描かれています。身近にもいそうな”普通の人たち”が主人公なので物語にも入りやすく、すっと胸に馴染むような内容になっています。

50. 大統領のクリスマス・ツリー / 鷺沢萌

主人公の強さにとても切なくなる作品

【治貴】と【香子】は学生時代、お互いに留学生としてワシントンで出会った。惹かれあい、共に暮らすようになった二人の生活は順調だったが、そんな幸せも束の間…

1996年には羽田美智子さん、別所哲也さん主演で実写映画化もされています。

華やかな題名に反して胸が締め付けられるような悲しさがある作品です。物語内に漂う雰囲気で結末の予想はついてしまうかもしれませんがそこに至るまでの過程が見事です。また、登場人物がとても魅力的なので感情移入してしまい最後には涙が止まりません…。今、大切な人がいる方に是非読んでいただきたい作品です。

 

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おわりに

いかがでしたでしょうか。

男女の恋愛だけでなく、色々な形の愛や友情、人生観にも影響を与える作品まで“恋愛小説”に込められた想いは様々なので少し違った見方で読んでみるのも面白いかもしれません。

今回はあらすじやざっくりとした内容のご紹介になってしまいましたが、Amazonでは作品によって試し読みができるものもありますので、気になる作品があれば、ぜひ確認してみてください!

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