日常生活のなかで感染対策として、手洗いや手指消毒をこまめに行うようにしている方も多いのではないでしょうか。手洗いや手指消毒は有効な手段として、こまめに行う習慣が定着しつつあるといえます。

しかし、手洗いや手指消毒は手肌や爪にダメージを与えてしまいます。感染対策をこまめに行う習慣により、手荒れが気になっている方、気になり始めた方が急増しているそうです。

手荒れは進行性指掌角皮症」という病名のつく症状です。たかだか手荒れだと侮ってはいけません。

手荒れを起こす原因から、手荒れが引き起こす弊害を皮膚科学の観点から詳しく解説します。

あわせてハンドケア剤の選び方とおすすめのハンドクリームもご紹介しますのでぜひ参考にしていただければと思います。

 

手荒れを引き起こす原因


手荒れと一言で言っても、その症状はさまざまです。

 

手荒れの主な症状
・手の甲がカサカサする
・赤みを帯びている
・指や掌の皮がめくれる
・湿疹のようなものができる
・指や掌が硬くなってくる(角化する)
・ひび割れが起きる

皮膚は皮脂・天然保湿因子・角質細胞間脂質という3つの物質によって肌の水分量を適度に保っています。

ところが石鹸や消毒による肌への刺激や、タオルなどの摩擦によりこれらの物質が傷つき水分量を適度に保てなくなってしまい引き起こされる症状を「手荒れ」と言います。

ほかには手洗いのあと、水分をしっかりとふき取らなかった場合も水分が失われやすくなるので手荒れの原因に繋がります。

肌自身が持つバリア機能のしくみ
出典:持田製薬

洗剤・シャンプー・消毒液は天然保湿因子の減少を促し、科学的刺激を与えます。そして布や紙による摩擦が物理的に皮膚表面に刺激を与えるため、手指は毎日ダメージを蓄積していると言えるでしょう。これらの刺激すべてが手荒れの症状を引き起こすのです。

つまり、手荒れを防ぐにはいかに「肌にダメージを与えないか」が重要になります。

 

手荒れによる弊害とは?

手荒れを起こした肌は通常よりも多くのウイルスや細菌が付着しやすい状態にあります。

ウイルスや細菌が付着したままでいると、バイオフィルムというものが形成され殺菌や消毒液の効果を阻害してしまうようになるのです。バイオフィルムは毒素も持ち合わせているため、手荒れを悪化させる直接的な原因にもなってしまいます。

 

手荒れの負のスパイラル

指先の皮がめくれやすくなることも肌荒れのひとつです。皮がめくれた部分にウイルスや細菌が付着すると肌荒れが悪化してしまいます。一度肌荒れを引き起こしてしまうと、さまざまな負のスパイラルへと繋がってしまうのです。

  • 手指消毒をしてもウイルス・細菌が減りにくい

バイオフィルムを始めとして、肌荒れ状態はどれだけ念入りに手洗いや手指消毒をしても皮膚にウイルスや細菌が残りやすくなります

 

  • 皮膚のバリア機能が低下

肌荒れにより、皮膚の成分が正常に働かなくなってしまいます。自分自身のバリア機能が低下し、感染リスクが更に増加してしまうのです。

 

  • 手荒れのかゆみ痛みで肌のケアが疎かになる

肌荒れを起こしてしまうと流水での手洗いも苦痛になってしまいがちです。そうなると、手洗いや手指消毒が疎かになってしまいます。

 

感染リスクの増大

 

ウイルスや細菌対策が不十分となり、直接感染や間接感染に繋がる恐れがあります。

  • 直接感染

    ウイルスや細菌の付着した皮膚や粘膜に直接触れて感染すること

 

  • 間接感染

    ウイルスや細菌の付着した手でドアノブなどに触れ、ドアノブを介してほかの人に感染すること

 

自分のバリア機能の低下で感染しやすい状態の中、周りの人へウイルスや細菌を広めてしまいやすくなります。これらの菌は肌自体にもよくないため、肌荒れも進行してしまうのです。

つまり、肌荒れをしないように気を付けること。そして肌荒れを起こしてしまった場合はできるだけ早く改善することが大切となってきます。

手荒れを防止するには?

手荒れを防止するには肌へ刺激を与えないことが重要と言えます。

とはいえ、手を清潔にするには手洗いは必須です。ウイルスや細菌から身を守るための手洗いや消毒で、感染リスクを高めてしまっては元も子もありません。

そこで、手を清潔にしながらも手荒れを防止する方法をいくつかご紹介します。

手荒れを起こす機会を減らす

感染対策として有効的な手洗いは、手荒れを引き起こす原因にもなってしまいます。実際に医療業界でも手洗いや手指の消毒により手荒れに悩む方も多く、医療従事者の7割がなんらかの手荒れに悩んでいるという調査結果もあるようです。

そこでいま注目されているのが「手洗いレベル」の区別です。

手洗いや手指消毒は肌へダメージを与えるもの。手洗いと消毒を用途に合わせて使い分けることで、肌へのダメージを最小限に抑える狙いがあります。

日常生活では、「日常手洗い」「衛生的手洗い」のみで十分といえるでしょう。

日常手洗い
利用 手洗い剤と流水
用途 日常的な手洗い。食事前やトイレ使用後など
目的 手指に付着した汚れや付着菌を除去 → 目で見える汚れ
衛生的手洗い
利用 速乾性手指消毒剤
用途 目に見えない微生物を確実に、効率的に除去したいとき
目的 日常手洗いでは除去できない通過菌の除去 → 目で見えない汚れ 

手洗い後の水分をタオルなどで拭く場合、ゴシゴシ擦らないように注意することも大切です。
手洗いレベルの区別と手の拭き方を変えることで習慣的なダメージを減少させることへと繋がります。

 

刺激の少ない消毒液を使用する

消毒の代表的なものとしてアルコール消毒が挙げられます。
消毒用エタノールとも呼ばれていて、幅広いウイルスや細菌に有効で即効性はある非常に優秀な消毒液です。

しかし、刺激性が強く手が荒れたり赤くはれたりすることもあります。肌の乾燥を進行させ、肌のバリア機能を低下させてしまうのです。

そこで低刺激性と呼ばれる消毒液を使用するようにすれば、肌へのダメージが抑えられます。グリセン含有アルコールなどがその代表です。

ハンドケア剤を使用する

手洗いや手指消毒のあとは保湿することが大切です。ハンドケア剤で失われた保湿因子を補うことで肌の水分量を保ち、手荒れを防ぐことができます。

 

更に、含まれている成分によっては肌荒れのトラブル自体を改善する効果も期待できます。

 

どこでも購入でき、簡単に肌のケアをすることができ、即効性のあるハンドケア剤は子どもや大人を問わず使用することができるのでオススメです。こまめにハンドケア剤を使用することで肌荒れから手指を守りましょう。

ハンドクリームの選び方

ハンドケア剤の代表的なものはハンドクリームです。香りのいいものや美容成分の含まれたものなどさまざまなものが販売されています。

しかし、ハンドクリームは肌荒れを防止・改善できるものでないと意味がありません。ご紹介するポイントに注目してハンドクリームを選ぶとよいでしょう。

成分

保湿・保護・消毒の効果を消さない成分が含まれていることが第一です。有効成分が含まれていて、できるだけムダな成分が含まれていないものを選びましょう

ムダな成分が多く含まれていると、もし貴方の肌に合わない成分があったとき判断が難しくなってしまいます。また、ハンドクリームの値段も高くなる傾向にもあるようです。

保湿効果が期待できる成分
例 グリセリン・乳酸・ピロリドンカルボン酸ナトリウム・尿素 など
肌の保護が期待できる成分
例 天然油脂・長鎖脂肪酸・脂肪酸エステル・ラノリン・リン脂質 など

 

香り・べたつき

ハンドクリームのなかには香りが強いものも多くあります。社会人であれば勤務先、また食事の場での強い香りはマナー違反とされることが多いです。男性は香りのないハンドクリームを選ぶ方も多いです。

 

そしてハンドクリームでは水分と油分のバランスが大切です。水分が多すぎると肌表面に水分が残り、油分が多すぎるとべたつきやすくなります。自分がべたつきを気にしなくても、ドアノブなどにハンドクリームの油分がついてしまってはほかの人が不快に思うかもしれません。

 

ハンドクリームもTPOに合わせたものを使用するようにしましょう。

おすすめハンドクリーム5選

おすすめするハンドクリームは、使い勝手がよく衛生的なチューブ型。そして気になる肌荒れに効果のある成分が配合されているものを選びましょう。

成分や香り、べたつきに注目したおすすめのハンドクリームをいくつかご紹介します。
どれもムダな成分が配合されていない肌に優しいものなので是非参考にしてくださいね!

乾燥・軽度の手荒れにおすすめ  「 薬用ハンドクリーム  アベンヌ 」

肌に優しいハンドクリーム1つ目は、高保湿、低刺激、無香料のアベンヌハンドクリームです。使用後はすぐにサラサラとするため使用シーンに制限はないと評判

ドラックストアで販売されているハンドクリームの中では比較的、高価な部類とも言えますが刺激的な成分が一切入っていない優しいハンドクリームです。他のハンドクリームよりも少し値が張りますが、伸びが良いので長く使用できます。

ハンドケアを行っているにも関わらず、塗り込みが甘く効果が十分に発揮できていない方が実は多いのですが、こちらのハンドクリームではその心配もありません。少し固めのテクスチャーは塗り込むことで透明へと変化し、肌になじみます。

目に見えて分かる変化で、ハンドクリームの効果を最大限に感じることができるのではないでしょうか。

 

使いやすくて肌に優しいビタミン系  「 ユースキン製薬 ユースキン 」


肌に優しいハンドクリーム2つ目は、保湿だけでなく、ひびやあかぎれなども気になる方におすすめのビタミンが配合されたユースキンのハンドクリーム。ビタミンEにより血液の流れを改善、dlカンフルが炎症をしずめ、グリセリンが肌の柔らかさをよみがえらせる効果があります。

勿論、ビタミンCとヒアルロン酸配合によって保湿もきちんとカバー。尿素などの肌への刺激が強い成分が配合されていないため、お年寄りや子ども、敏感肌の方も問題なく使用することができます。

すこし匂いが薬品を感じられるため、その点は注意が必要ともいえるでしょう。しかし、ひびやあかぎれへの効果は群を抜いているとの口コミが非常に多いため、悩んでいる方は一度試してみてはいかがでしょうか。

 

性別や使用シーンを選ばない   「 無印良品 ハンドクリーム 」

肌に優しいハンドクリーム3つ目は、シンプルなパッケージに、コスパが高く男女問わず使用できる無印良品のハンドクリームです。配合されている成分も非常にシンプルで、手荒れ防止としての使用もおすすめです。

べたつきも少なく無香料であるため、仕事中や食事の際などでも気兼ねなく使用することができます。

 

ガサガサした手荒れのケアに   「 資生堂 尿素10%クリーム 」

肌に優しいハンドクリーム4つ目は、べたつかないのに肌の水分量を保ってくれる優秀な資生堂のハンドクリーム!

ガサガサした肌荒れは皮膚が硬くなっている状態です。尿素にはたんぱく質を分解する働きがあるため、肌表面の古い角質を柔らかくしターンオーバーを促す効果が期待できます。 無香料で手や指先だけでなく、かかとやひざに使用することもおすすめ。

ただし、尿素が配合されたハンドクリームは日常使いではなく気になる部分に使用するようにしましょう。尿素によりターンオーバーが過剰に早められると、乾燥しやすく刺激に弱い肌になってしまう可能性があります。

持ち運びに便利なサイズや、家族みんなで使用できる容量の大きなタイプなど様々なサイズや形で販売されています。

 

新しいハンドケア習慣を  「 花王 アトリックス ハンドミルク 」

肌に優しいハンドクリーム5つ目は、ハンドミルクタイプのハンドクリームです。

ついつい忘れがちで、面倒になってしまいやすいハンドケアですが、こちらは手洗い後の濡れた手にさっとなじませて流すだけでハンドケアが完了します。ポンプ式のため洗面所や台所に置きやすく、手を洗ったそのままの流れで使用できるため手間もなく非常に使いやすいハンドケア剤と言えるでしょう。

これからは手洗いうがいと同じように、ハンドケアの習慣も身に付けることも大切です。
ハンドケアを意識しない子どもや、水仕事の多い主婦におすすめします。

 

まとめ

ハンドケアは、冬の乾燥時期だけ気を付ければいいという問題ではないことがお分かりいただけたかと思います。そして肌荒れは単なる痛みだけでなく、そこから様々な負のスパイラルへと発展してしまいます。

常にハンドケアを意識する、そして肌荒れが起きてしまったらすぐにケアをする。これは自分だけでなく周りのひとにも関係のあることなのです。ハンドケアはマスクのような「エチケット」「マナー」に分類されてもおかしくないほどに大切だと言えるでしょう。

沢山のハンドクリームの中からぜひ自分に合ったハンドクリームを見つけてください。

ハンドケアを習慣づけ、綺麗な手と健康を守っていきましょう!

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