忙しくても、料理が苦手でも、毎日食事は必要です。毎回外食では費用がかかり、スーパーなどのお惣菜ばかりというのも、栄養の偏りが心配になるもの。
きちんとした食生活をと思うなら、自炊するのが一番ですが、料理初心者さんや忙しい毎日を送る人にとっては、毎食の調理は負担になるでしょう。
今回は書店員経験のある筆者が、料理本の選び方と、おすすめの本をご紹介します。
料理初心者さんはもちろん、毎日の食事作りで頭を悩ませている主婦の方も、参考にしてみてください。
この記事の目次
献立決めや調理方法の調べ方
さて、いざ食事を作ろうと思ったとき、献立はどうやって決めますか?
料理に慣れている人は、冷蔵庫にある材料の組み合わせですぐにメニューが決まるでしょう。あるいは時間に余裕のある人は、献立をじっくり考えたり、調理方法を調べたり、必要な食材を都度買い出しに行くこともできます。
しかし不慣れな人や、家事と仕事を両立するような忙しい主婦はこうはいきません。素早く必要な情報を手に入れるには、どのような方法があるでしょうか。
口コミ投稿型レシピサイトは情報がアイデア豊富
最近は無料で利用できる、レシピ投稿サイトも増えています。手元にある食材で検索すると、様々なレシピを見つけられ、新しいメニューをたくさん見つけられるでしょう。ランキング上位のレシピは、動画付きで解説している場合もあります。
しかし誰でも気軽にレシピ投稿できるため、不適切なレシピが入っていることもあります。生食できない素材をサラダやレアな焼き加減で使っている、乳幼児向けのメニューにハチミツを使っている、といったケースもあり注意が必要です。
また手軽さだけを紹介した調理法のため、下ごしらえが不適切であったり、素材の栄養が損なわれている場合もあります。新しいアイデアを得るには、レシピ投稿サイトは非常に便利ですが、活用するときは注意しましょう。
食品メーカーや料理研究家が紹介するレシピは信頼できる
一方、食品メーカーが自社商品の販促も兼ねて紹介しているレシピは、しっかりとした監修のもとに作られているので、信頼できて美味しく作れるでしょう。ただしレシピで必要とされている調味料や食品が手元にない場合は、どのように置き換えるか、という工夫が必要な面もあります。
また料理研究家や栄養士の方のレシピサイトも、最近は増えてきています。料理が苦手な人や、時間がない人の目線に立ち、手軽に簡単に作れて栄養もしっかり、といった工夫がされていることが多く、こちらも信頼できるレシピサイトです。
料理本を手元に置くのもおすすめ
最近は投稿サイトやレシピサイトで、料理に関する情報を得られやすくなっているものの、日々たくさんの情報が流れているため、欲しい情報を取り出すことが難しい場合もあります。
自分にとって必要な情報が、分かりやすい形でまとめられた料理本が手元にあれば、いつでもすぐに見直すことができ、料理上達にもつながるでしょう。
料理の基本、時短やお弁当用、といったテーマごとにまとめられた本も多数ありますので、自分に必要な内容のものがあれば、手元に料理本を置いておくのもおすすめです。
料理本・レシピ本の選び方
一言に料理本・レシピ本といっても、書店には多種多様な本が溢れています。そこで書店員経験のある筆者が、料理本・レシピ本を選ぶときのポイントをご紹介します。
初心者にはイラストや写真豊富なものがわかりやすい
料理の経験が少ない、あるいは料理が苦手な人はまず、イラストや写真が多く、見てわかりやすい本から選びましょう。
食材の切り方も色々あり、どれくらいの大きさでどんな形なのかがわかるような、できれば原寸大の写真入りであると理解しやすいです。
調理中の「野菜がしんなりしてきたら」「火が通って透明になってきたら」「きつね色になるまで」といった表現も、初心者の人にとってはイメージしづらいですよね。やはりここも写真付きで解説されていると、どのような状態がそれにあたるのかが、わかりやすくなります。
日常使いのレシピを学ぶなら使われている材料・器具が重要
毎日の食事作りのためのレパートリーを増やしたいと考えるなら、本の中に登場する材料や器具に注意しましょう。
あまり一般的ではない材料・器具が頻繁に登場する本は、日々の食事向けではありません。特別な日の料理や、特定の料理ジャンルを極める専門書を探しているならば、そういった本も必要ですが、毎日の食事のためならば身近なものであることが重要です。
自分に必要な内容かどうかも確認
書店には日々、様々な本が入荷しています。料理本コーナーにも、その時々の流行やシーズンに合わせて、多種多様なものが並ぶものです。
何となく購入したものの、毎日の食事には向かない本であった、ということがないように、自分が欲しい料理本はどんな内容なのかをしっかり見極めましょう。
おすすめ料理本25選
基本から学べる料理本10選
まずは料理の基本が丁寧に学べる料理本をご紹介。調理器具の正しい使い方や、食材の切り方などを分かりやすく解説し、毎日の食事の基本となる家庭料理の作り方が学べます。
基本がマスターできれば、様々なアレンジが可能になり、作れる料理のバリエーションも増えるものです。
お料理1年生 The基本
主婦の友社
参考価格:1320円
料理初心者の方に向けて、分かりやすく書かれた本であり、基本の調味料や素材の切り方も丁寧に解説しています。
サバの味噌煮、酢豚、コロッケと、和洋中取り揃えた定番家庭料理の作り方はもちろん、野菜が取れる副菜やご馳走向けメニューも掲載。写真付きで分かりやすい手順が書かれているので、初心者の方も安心して使える1冊です。
料理のきほん練習帳
小田真規子 著/高橋書店
参考価格:1320円
こちらも基本的な家庭料理の作り方を学ぶには、ピッタリの1冊。著者の方は栄養士の資格を持ち、フードディレクターとして活躍されているので、信頼できる内容です。
手軽な作り方ではなく、きちんと基本に則った手順で書かれているので、これから本格的に料理ができるようになりたい人向けといえます。
1分で決まる! 志麻さんの献立の作り方
志麻 著/マガジンハウス
参考価格:1430円
予約の取れない家政婦として知られる、志麻さんによる献立の考え方を扱った料理本。毎日の食事作りにおいて、メインと付け合わせをどう組み合わせるか、頭を悩ませる主婦の方も多いのではないでしょうか?
この本では献立がサッと決まる方程式が紹介され、食事作りの負担を軽減してくれます。
また、紹介されているレシピは洋食が中心なので、洋食のレパートリーを増やしていきたい人にもおすすめです。
からだにおいしい 野菜の便利帳
板木利隆 著/高橋書店
参考価格:1430円
まるで図鑑のような、野菜解説本。食材の特徴や栄養、保存方法、簡単なレシピを個別に解説しています。
食材の特徴を知れば、自然と料理についての考え方も身につくもの。写真も豊富なので、お子さんの食育にも使える内容です。
その調理、9割の栄養捨ててます!
世界文化社
参考価格:1540円
食材の栄養素を無駄にしない調理法、保存法、食べ方を解説している本。
レシピ投稿サイトなどで見る、お手軽簡単な調理法は、実は素材の栄養を捨ててしまっていることも多いのです。
せっかくの手料理なら、美味しくて栄養もしっかり摂れる内容にしたいですよね。食材の正しい調理法を知ることも、料理上達には必要です。
誰でも1回で味が決まるロジカル調理
前田量子 著/主婦の友社
参考価格:1320円
料理を科学的・論理的に解説し、誰でも美味しく作れる方法を解説している本です。
なぜその手順なのか?なぜその割合で調味料を使うのか?
料理の常識の中にある「なぜ?」が解決する、理系の料理本になっています。料理はセンスや才能ではなく、合理的な手法により成り立つものだということが理解できます。
手ほどきdancyu 基本の い
プレジデント社
参考価格:770円
グルメ雑誌のdancyuが送る、料理の基本をまとめたムック本。
写真も豊富で、雑誌感覚で気楽に読むことができますが、料理の基本となる手順をわかりやすく解説しています。
「い」「ろ」「は」とシリーズで展開しているので、順を追って読むのもおすすめです。1000円以内で購入できるので、本格的な料理本を買う決心はつかないけれど、という人にも手を出しやすい価格でしょう。
ゆる自炊BOOK
オレンジページ
参考価格:1324円
こちらは「料理は難しく考えなくてOK、簡単にできるよ」というスタンスの料理本。
見開きを使って、写真を大きく乗せるなど視覚的にわかりやすくなっています。調理手順の工程も少なくまとめられており、料理が苦手だけれど自炊をしていきたいという人に、まず読んでほしい1冊です。
他にもお弁当やお片付けをテーマにした「ゆるBook」が、シリーズ化しています。
一汁一菜でよいという提案
土井善晴 著/グラフィック社
参考価格:1650円
料理番組でもおなじみの、土井先生による本。
毎日の家庭の食事は、手間暇かけて、家族の好みを考えて、何品も作って……そんな思い込みが料理する人を苦しめ、苦手意識を植え付けていたかもしれません。
土井先生は「ご飯と具だくさんの汁物があれば、食事は成立する」という提言をされています。写真豊富なレシピ本とは少し異なりますが、毎日の食事の基本となる、汁物のレシピを紹介した1冊です。
小林カツ代の永久不滅レシピ101
小林カツ代 著/主婦の友社
参考価格:1320円
国民的料理研究家・小林カツ代さんが残した定番家庭料理レシピ本。
簡単で作りやすいレシピばかりで、料理の基本をしっかり押さえています。世代を問わず、手元に置きたくなると評判の料理本です。
料理初心者や忙しい人を応援!簡単&時短レシピ本5選
次に料理初心者さんや、忙しい人でも簡単にすぐ作れるレシピを扱った本を紹介します。
基本からしっかり学ぶほど料理に興味があるわけではないけれど、自炊はしたい人や帰宅が遅くなった日にパパっと作れるものを探している人におすすめです。
めんどうなことしないうまさ極みレシピ 激烈美味しいストレスなし103品
ジョーさん。著/KADOKAWA
参考価格:1485円
計量器具は使わない、包丁を使いたくない、食材を余らせたくない、火は使いたくない。料理における様々な面倒ごとを回避する「しない」アイデアのレシピ本です。
料理に不慣れな人でもわかりやすく、手順も簡略化されているので、苦手意識がある方が挑戦するにはぴったりの本です。
お手軽食材で失敗知らず! やみつきバズレシピ
リュウジ 著/扶桑社
参考価格:1210円
SNSで時短料理が話題になっている、人気料理研究家・リュウジさんのレシピ本。
工程も少なく、電子レンジをフル活用して、誰でも失敗なく作れて美味しい。言うことなしの1冊です。
料理が苦手な人も、こういったレシピなら挑戦しやすいでしょう。他にも麺・丼に特化した内容や、太らないをテーマにしたバズレシピ本がシリーズ化されています。
レンジがあればなんでもできる! 早ワザ・神ワザ・絶品レンチンごはん
タケムラ ダイ 著/宝島社
参考価格:1408円
電子レンジ料理研究家・タケムラさんによる、電子レンジ活用術を極めたレシピ本。
食材の下ごしらえが簡単になり、栄養を損なわずに素早く作れるという、電子レンジをつかうメリットをたくさん紹介しています。料理初心者はもちろん、慣れてきた人が時短テクニックを学ぶにはおすすめの本です。
世界一美味しい手抜きごはん 最速! やる気のいらない100レシピ
はらぺこグリズリー 著/KADOKAWA
参考価格:1430円
「とにかく簡単に美味しく作る」をモットーにした本で、料理レシピ本大賞も受賞した話題の1冊。
忙しくて調理に時間はかけられない。でも美味しいものが食べたい。そんな願いを叶えてくれます。写真も多く使い、シンプルな工程で分かりやすく手順を紹介しているので、料理初心者さんでも安心です。
栄養士ママそっち~の「毎週くり返し」だからラク早! 絶品サイクル晩ごはん
そっち~ 著/KADOKAWA
参考価格:1320円
栄養士料理ブロガーのそっち~さんのレシピがまとめられた本です。
毎日の食事作りを、学校の時間割のように決まったサイクルにしてしまうことで、献立決めの負担軽減。献立が固定されれば調理手順も決まり、食材の買い出しも楽になります。忙しい主婦の方にピッタリな、家族向けのレシピがそろっています。
毎朝のお弁当作りをお助け!簡単お弁当レシピ本5選
続いて、忙しい朝の支度と並行して、お弁当作りもしなければならない人のために、お弁当レシピに特化した本をご紹介。
冷めても美味しい、同時に数品作れる、といったアイデアがたくさん詰まっています。
ほぼ10分べんとう 266
市瀬悦子 著/主婦の友社
参考価格:980円
食品メーカー勤務経験のある料理研究家・市瀬悦子さんのお弁当レシピ本。
忙しい朝も楽に作れるように考えられたレシピ多数で、アイデア満載です。ご飯を炊き忘れた、寝坊をしてしまったなどお弁当作りの場面で遭遇する「どうしよう?」を解決してくれます。
お子さんのお弁当作りに追われる、忙しい主婦の方におすすめしたい内容です。
フライパンで3品同時に作れる魔法のレシピ! 朝8分ほったらかし弁当
川崎利栄 著/世界文化社
参考価格:2455円
蓋つきフライパンとクッキングシートを活用し、複数の料理を同時に作るレシピ本。お弁当に入れるおかずを、朝から複数作るのは大変ですが、この本の調理法ならその問題が解決できます。
茹でる・蒸す、といった調理法が多く使われているので、油を使わないヘルシーなレシピが多いのも特徴。クッキングシートとフライパン1つなので、洗い物も少なく済みます。
たっきーママの朝作らない! 作りおきおかずのお弁当
奥田和美 著/扶桑社
参考価格:1320円
週末にお弁当のおかずをまとめて作り、朝は詰めるだけでお弁当が完成する、というレシピ本です。
保存期間や、再加熱時間も丁寧に書かれており、毎日のお弁当作りに追われる子育て中の主婦の方にはありがたい内容です。
〝小分け冷凍おかず″を詰めるだけ! ゆーママの毎朝ラクする冷凍作りおきのお弁当
松本有美 著/扶桑社
参考価格:1320円
こちらも作り置きレシピですが、お弁当向けの冷凍作り置きを解説しています。
冷凍保存すると彩りが悪くなってしまう問題も解決し、美味しく作るコツが盛りだくさん。市販の冷凍食品ではお弁当がマンネリ化してしまいますが、お家でお弁当のおかずを冷凍すれば、バリエーション豊富なお弁当が作れます。
繰り返し作りたくなる! ラク弁当レシピ
長谷川りえ 著/エイ出版社
参考価格:1210円
20年間、家族の弁当を作り続けた著者の、お弁当作りの知恵がまとめられた1冊です。盛り付け例もバリエーション豊富に写真で紹介されており、同じおかずでも副菜との組み合わせ次第でマンネリを防げることがよくわかります。
便利な常備菜や保存食など作り置きレシピ本5選
週末にまとめて調理する作り置きや、常備菜レシピも最近話題になっています。
時間のある時や、安く買えた食材をまとめ買いして作り置きすれば、毎日の食事作りの負担を減らせます。ただし、作り置きをするときは、保存状態には注意が必要です。日持ちの目安や、食べる前の再加熱について詳しく書かれているとわかりやすいですね。
つくおき~週末まとめて作り置きレシピ~
nozomi 著/光文社
参考価格:1430円
週末にまとめて調理する、nozomiさんのレシピブログが人気化し、書籍になった一冊。
同時調理のコツや手順、日持ちの目安もわかりやすく書かれているので、毎日の食事作りの負担を減らすテクニックを学びたい人には特におすすめです。
忙しい人専用 「つくりおき食堂」の超簡単レシピ
若菜まりえ 著/扶桑社
参考価格:1320円
こちらも、作り置きレシピブログからの書籍化した本です。
食品生科学を専攻されていた著者の若葉まりえさんは、幼いお子さんを育てながら働くワーキングマザー。そんな彼女の作り置きテクニックがまとめられています。電子レンジやキッチンバサミを活用し、忙しい人を考えたレシピが満載です。
長期保存OK! いろんな料理に使える! 味つけ冷凍レシピ
森 洋子 著/エイ出版社
参考価格:1100円
食材に味付けをした状態の冷凍保存に特化した本です。素材ごとの味付けレシピの他、アレンジ料理も紹介されているので、味付け冷凍を1つ作っておけば、それだけで食事が作れるようになっています。
週末に食材をまとめ買いし、下ごしらえと味付けをして冷凍保存しておけば、あとは食べたいときに調理するだけ。毎日出来立てが食べられます。
ラクしておいしい! かんたん冷凍作りおき
倉橋利江 著/新星出版社
参考価格:1210円
こちらも冷凍系ですが、味付け冷凍と冷凍保存するおかずの作り方を紹介しています。使われている調味料も身近なものばかりで、すぐに取り入れられる内容です。
汁物の具材も、下ごしらえをして冷凍しておけば、毎食野菜を切って用意しなくてもすぐにお味噌汁が作れます。
予約の取れない家政婦makoの世界一かんたん! 糖質オフのやせるつくりおき
mako 著/KADOKAWA
参考価格:1430円
メディアでもよく取り上げられている、予約の取れない家政婦・makoさんの料理本です。栄養士やフードコーディネーターの資格も持たれているので、料理についての知識も豊富。
しかも作り置きだけでなく、糖質に着目して痩せるレシピが詰まっているのが特徴です。家族の健康管理に気を遣う主婦の方には、おすすめの本です。
まとめ
今回は毎日の食事作りに役立つ、料理本を紹介しました。毎日の食卓は、美味しく・楽しくが一番です。
今は初心者だけど料理上手になりたい人は基本がしっかり学べる本、とにかく毎日の食事作りを楽にしたい人は時短レシピ、それぞれの目的に合わせて料理本を選んでください。