【アートに触れる】芸術の秋におすすめの写真集・画集・実用書まとめ
Iren Polishchukによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/8651576/

はじめに

Jon Bagnatoによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/13371430/

 

みなさんは、秋といえば何を思い浮かべますか?


食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋……。どれも魅力的ですが、しっとりとした空気に包まれるこの季節は、心静かに「芸術の秋」を楽しむのにもぴったりです。

私はつい、美味しいものに心を奪われがちですが、街のギャラリーや書店でアートに触れている人を見ると、なんだかとても素敵だなと思います。芸術を嗜む人って、少し余裕があって、季節の移ろいを味わうように日々を過ごしている印象がありますよね。

そこで今回は、そんな憧れを抱く方にも、すでにアートを日常に取り入れている方にも楽しんでいただけるように、「アートに触れる本」をテーマ別にご紹介します。

美しい写真集やイラスト集、自分の手で作品を生み出すための実用書、芸術を深く理解できる教養書など──ページをめくるたびに、心が豊かになる15冊を集めました。

 

芸術の秋

Daian Ganによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/102127/

 

秋になると、街も空も、どこかしっとりとした表情を見せます。

日差しは柔らかく、風は少しひんやりとして、ゆっくりとした時間が流れていくようです。
こんな季節だからこそ、少し立ち止まって、アートの世界に目を向けたくなる――そんな気持ちになるのかもしれません。

絵画写真イラスト、さらには文字で紡がれた芸術家のエッセイ
どれも生活の中に取り入れることで、日常の景色が少しだけ豊かに、彩りを帯びて見えてきます。
美術館へ足を運ぶのも素敵ですが、家でページをめくるだけでも、静かに心が満たされる時間を持てるのが魅力です。

芸術は、決して特別な人だけのものではありません。

秋の柔らかな光に包まれながら、少しだけ自分の感性に耳を澄ませる時間を持つ――それが、「芸術の秋」を楽しむ一番のポイントかもしれません。

 

アートの本とその魅力

cottonbro studioによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/4123703/

 

アートの世界は広くて深く、本を通して触れる楽しみ方もさまざまです。

例えば、美しい写真やイラストを眺めるだけで心が満たされる写真集画集
ページをめくるたびに、世界の風景や作家の想像力の豊かさに触れられます。

一方で、自分で手を動かして作品を生み出す実用書もあります。
水彩や鉛筆、切り絵、ガラスペン……どんな画材や技法でも、少しずつ描いたり作ったりする過程は、心を落ち着かせ、満ち足りた時間をもたらしてくれます。

さらに、絵の見方や美術史、アーティスト自身の思考をまとめた教養書も魅力的です。
作品の背景や作家の意図を知ることで、ただ眺めるだけでは気づけなかった深い楽しみ方が見えてきます。

こうした本は、アートに詳しい人にも、これから楽しみたい人にも、自分のペースで楽しめるという点が大きな魅力です。
忙しい日常の中でも、ページをめくるだけで少しだけ世界が広がり、心が静かに整う――そんな時間をくれるのが、アートの本なのです。

Column
このジャンルの本はこんな人におすすめ

写真集
 美しい景色や作品を眺めて心を癒したい人。ページをめくるだけで、非日常の世界に浸れます。

イラスト集・画集
 アートの表現や作家の世界観に触れたい人。個性的な作品から、創作のヒントや感性の刺激を得られます。

実用書
 自分で描いたり作ったりする時間を楽しみたい人。手を動かすことで、心が静まり、創作の喜びを実感できます。

教養書
 作品の背景やアーティストの思考を知り、より深く理解したい人。読み進めるうちに、見る目や感性が自然に広がります。

 

眺めて、浸って、作って、学ぶ――

今回は、この4つのテーマに分けて、秋の時間にぴったりなアートの本をご紹介していきます。

 

アートに触れる本おすすめ15選

”眺めて楽しむ”写真集

世界の美しい美術館 パイ インターナショナル (編集)

建築そのものが芸術作品のような、美しい美術館をめぐる一冊です。ヴェルサイユ宮殿やルーヴル美術館、プラド美術館にジブリ美術館まで、世界の個性豊かな84館を収録。豪華絢爛な宮殿から、スタイリッシュな現代建築まで、空間そのものの美しさに心が惹かれます。絵画や彫刻とともに、展示空間の趣向や設計のこだわりも楽しめるので、まるで旅をしている気分に。美術品を眺めるだけでなく、建物そのものを味わう喜びも味わえる、贅沢な一冊です。

 

葉っぱ切り絵絵本 素敵な空が見えるよ、明日もきっと 小さな優しい森の仲間たち リト@葉っぱ切り絵 (著)

葉っぱの上で小さな動物たちが繰り広げる、優しい物語を集めた葉っぱ切り絵の作品集です。第3弾となる本書は絵本仕立てで、ウサギやリス、ゾウなどおなじみのキャラクターが森の中で笑ったり泣いたりする様子を、78点の作品で楽しめます。SNSで話題のアーティスト・リト@葉っぱ切り絵さんは、ADHDによる集中力やこだわりを前向きに生かし、独学で制作をスタート。国内外のメディアでも取り上げられる人気作家です。ページをめくるたびに、心がそっと癒される、温かい時間を届けてくれる一冊です。

 

くみたて (日本傑作絵本シリーズ) 田中 達也 (著)

分解された日用品を、ミニチュアの作業員たちがせっせと組み立てていく姿を描いた絵本です。パーツの状態では何か分からなくても、完成するにつれてその正体が明らかになり、思わず笑顔になる発見があります。海外でも人気のミニチュア写真家・見立て作家、田中達也さんによる初めての絵本で、日常のものを別の視点で楽しむユーモアと、組み立ての楽しさが同時に味わえます。ページをめくるたび、ミニチュア世界の住人たちの小さなドラマに想像が広がり、子どもはもちろん大人も感性を刺激される一冊です。

 

「Diaries」鎌田風花&小春ハルカ 写真集 鎌田風花 (著), 小春ハルカ (著), 編集 GENIC (著)

日常の何気ない瞬間のときめきを、フォトグラファー鎌田風花さんと小春ハルカさんが、交換日記のように写真で綴ったダイアリー写真集です。1月から12月まで、光を浴びた花やそよぐ風、季節の香りや小さな幸せを、透明感あふれる優しいタッチで美しく切り取ります。鎌田さんは柔らかな光と色彩で季節の移ろいを表現する写真家、小春さんは日常の何気ない景色を切り取り、心に響く瞬間を丁寧に写すフォトグラファーです。個人的にも私は小春さんの作品が好きで、写真を撮るときの参考にしています。ページをめくるたび、二人の感性に触れながら、心がそっと温かくなる一冊です。

 

”世界観に浸る”イラスト・画集

ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集 吉田 誠治 (著)

住んでみたい空想の家を30点以上収録した、美術設定集の決定版です。物語に登場するようなユニークな家々を描き、既刊作品に加え新作や線画、メイキングなども収録。ページをめくるたびに、新しい物語が始まるようなワクワク感を味わえます。ファンタジーRPG作品が好きな方はもちろん、空想の世界に浸りたい人にもぴったりです。著者の吉田誠治さんは背景グラフィッカー・イラストレーターとして活躍し、ゲームや書籍のイラスト制作にも携わるほか、京都精華大学非常勤講師として後進の育成にも力を注いでいます。

 

ヒグチユウコ画集 CIRCUS ヒグチ ユウコ (著)

日本のみならず世界から注目される画家・ヒグチユウコさんの画集です。224ページにわたる渾身の作品に加え、本書のための描き下ろし「卑怯な蝙蝠」16ページも収録され、ファン必携の一冊となっています。これまでの作品集とは異なる、1st作品集では世に出なかった貴重な作品も多数掲載され、見応え十分です。東京都在住のヒグチユウコさんは、独特の柔らかく少し不思議な世界観で猫や人、日常のモチーフを描く画家・絵本作家。個展や企業コラボも精力的に行い、作品集や絵本を通して、見る人の心をそっとつかむ魅力あふれる作風です。

※記事執筆時点で在庫が減少中なので、気になる方はお早めのチェックがおすすめです。

 

西村典子画集 空想街雑貨店の世界 西村典子 西村祐紀 (著)

「空想街雑貨店」の世界を1冊にまとめた、西村典子さんの初画集です。未発表作品や雑貨店を始める前の絵、最新作まで収録され、空想街雑貨店の魅力が余すところなく楽しめます。空想街雑貨店は、姉妹ユニットの西村典子さん(画家)と祐紀さん(デザイナー)が手掛けるブランドで、手描きの空想の街をテーマにスマホケースやカレンダーなどの雑貨を制作し、吉祥寺で実際の店舗も運営しています。章ごとに「空の街」「夜の街」「森の街」など異なる風景を展開し、巻末にはメイキングやロングインタビューも掲載。ページをめくるたび、空想の街を旅するようなワクワク感と、姉妹の作品世界の温かさに触れられる一冊です。

 

Palm Street Songs 永井 博 (著)

あの名盤『A LONG VACATION』のジャケットで知られるイラストレーター・永井博さんの作品集『Palm Street Songs』。どこまでも抜ける青空、プールサイドに落ちるヤシの木の影——ページをめくるたび、70年代の西海岸の風が心をくすぐります。本書には未発表作を含む全70点を収録し、ざらりとした紙質やB6サイズなど、海外ペーパーバックのような手触りも魅力。近年のシティポップブームで再び注目を集める永井の世界は、世代を超えて“夏の記憶”を呼び覚まします。音楽が聴こえてくるような爽やかな一冊です。

 

”自分で作る”実用書

1日でこんなに美しく描ける 風景の水彩レッスン 春﨑 幹太 (著)

水彩画家・春﨑幹太さんによる、やさしく楽しい技法書”1日で描ける水彩画”。「偶然を楽しむ」ことを大切に、絵の具7本・下準備なしで気軽に始められる一冊です。春﨑さんの穏やかな筆づかいと色彩感覚が学べる動画付きで、夜景や桜、雪景色など、心に残る風景を1日で描けるように。チャンネル登録者11万人を超える人気YouTuberでもある春﨑さんの教えは、見ているだけでも癒やされます。絵を描く楽しさを思い出させてくれる、心にやさしい入門書です。

 

ねこの描き方れんしゅう帖 小泉さよ (著)

猫を愛して30年、描き続けて20年──「おもに猫を描くイラストレーター」小泉さよさんによる、猫イラストの入門書。鉛筆や水彩、色鉛筆を使って、のびのびと“自分だけの猫”を描くコツがやさしく学べます。線が曲がっても、色がはみ出しても大丈夫。猫のしぐさや表情を楽しみながら、描くほどに愛しさが増していく一冊です。雑誌や書籍、文具など幅広く活躍する小泉さんならではの、やわらかで温かな世界観が詰まっています。猫好きさんにも、絵を描くのが久しぶりな方にもおすすめの、心がほぐれるイラストBOOKです。

 

ガラスペンとインクで彩る すてきな喫茶室 omiso (著)

人気イラストレーター・omisoさんが描く、架空の喫茶室「喫茶ink堂」をテーマにしたトレースブック。プリンアラモードやクリームソーダなど、レトロ喫茶の魅力がたっぷり詰まったイラストを、ガラスペンやお気に入りのインクでなぞって楽しめます。色選びのコツや着彩のヒントも紹介されていて、インク沼にはまっている方はもちろん、ガラスペンやインクを持て余している方にもぴったり。お気に入りのインクが作品になったときの喜びをぜひ感じていただきたいです。仕上げた作品はメッセージカードとしても使える、癒やしと創作の時間をくれる一冊です。

※人気作品のため、記事執筆時点で在庫が減少中です。気になる方はお早めのチェックがおすすめです。

 

”知識を深めて学ぶ”教養書

絵を見る技術 名画の構造を読み解く 秋田麻早子 (著)

名画を前にして「どう見たらいいのかわからない」と感じたことはありませんか?本書は、そんな迷える人に寄り添う“絵を見るための指南書”。ダ・ヴィンチやフェルメールなどの名画を例に、構図・色・バランスなど「造形」の面から絵の見方をやさしく解説します。センスや知識がなくても、自分の目で絵を読み解く力が身につく一冊。美術館巡りがもっと楽しくなり、名画がぐっと身近に感じられるようになります。

 

学芸員が教える 日本美術が楽しくなる話 ちいさな美術館の学芸員 (著)

「日本美術って難しそう」と感じている方にこそ読んでほしい一冊。金ぴかの絵や仏像、刀剣など、日本美術の魅力をやさしく、ユーモアを交えて解き明かします。「なぜ?」が「なるほど!」に変わる解説で、美術館巡りがぐっと楽しくなるはず。2025年の大河ドラマ『べらぼう』をきっかけに日本美術に興味を持った方にもぴったりです。現役学芸員が案内する、日本美術超入門の決定版

 

トーベ・ヤンソンの夏の記憶を追いかけて 内山 さつき (著)

「ムーミン」シリーズの作者、トーベ・ヤンソンが愛した小さな島・クルーヴハル。彼女は毎年夏が訪れると、この島へ向かったと言います。電気も水もない島で過ごした夏の日々には、創作の源となった静けさと自由が息づいています。本書では、トーベの足跡をたどりながら、友人たちが語るあたたかな思い出や島の風景を紹介。ページをめくるたびに、トーベの世界がそっと心に広がっていきます。彼女の感性と生き方に、ゆっくりと触れてみませんか。

 

ボクと、正義と、アンパンマン なんのために生まれて、なにをして生きるのか やなせたかし (著)

2025年のNHK朝ドラ『あんぱん』のモデルにもなった、やなせたかしさん。アンパンマンや「手のひらを太陽に」を生み出した彼の言葉には、優しさとユーモア、そして深い人生の知恵があふれています。戦争を経験した著者だからこそ語れる、「本当の正義とは何か」という問いや、ものづくりに対する真摯な姿勢。子どもたちの純粋な心から学んだことや、国民的ヒーロー・アンパンマンが生まれた背景も知ることができます。読むほどに温かい気持ちになり、人生やものづくりの楽しさを改めて感じられる、心に響くエッセイ集です。

 

いかがでしたか?

Cup of Coupleによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/7301922/

 

今回は、アートに触れる本をご紹介しました。

日々の慌ただしさに追われていると、なかなか美しいものに目を向ける余裕は持てませんよね。でも、アートはそんな時間の合間に、そっと感性を揺さぶり、心に小さな彩りを届けてくれます。

この秋は少し歩みを緩めて、ページをめくりながら、アートの世界に触れてみませんか。きっと、日常の見え方が少し変わるはずです。

 

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