
この記事の目次
はじめに

UnsplashのDaria Nepriakhina 🇺🇦が撮影した写真
みなさん、最近「本」を読んでいますか?
本をよく読む人って、どこか教養があるようなイメージ、ありますよね。
でも実は私、文字だけの本を読むのがちょっと苦手なんです。
それでも、やっぱり“教養のある大人”には憧れる――。
そんな私が出会ったのが、「大人向けの図鑑」でした。
今回は、読書が苦手な方でも気負わず楽しめて、知識もしっかり身につく――
そんな“大人が楽しめる図鑑”をご紹介します。
大人向けの文系図鑑とは?

UnsplashのJeffrey Zhangが撮影した写真
言葉の由来、思想の系譜、芸術の歴史、建築やデザインの美しさ——
文系の世界には、人が生み出してきた知恵と感性の軌跡が、静かに、しかし確かに息づいています。そんな豊かなテーマを、写真や図版、やさしい言葉で伝えてくれるのが「大人向けの文系図鑑」です。
文系図鑑は、難しい本を読みこなす必要はありません。パラパラとページをめくりながら、美しいもの、不思議なもの、心にひっかかることばに出会う。それだけで、世界がほんの少し広がったような感覚が得られます。
哲学の名言、世界各地の装飾文化、いつか使ってみたい美しい言の葉――
知識として覚えるのではなく、感性で受けとめ、味わう楽しさがそこにはあります。
最近では、視覚的に美しい構成のものや、アートブックのように楽しめる図鑑も増えてきました。「教養」という言葉にちょっと気後れしてしまう人でも、自然と知的な世界に触れられる。それが、大人向けの文系図鑑の魅力です。
“感じる”から始める、文系図鑑のたのしみ方

UnsplashのCamille Brodardが撮影した写真
知識を深めるとか、教養を身につけるとか、そう聞くと少し身構えてしまう——
特に文系の世界は「知っているかどうか」で測られているような、そんな空気を感じることもあるかもしれません。
でも、図鑑を前にしたとき、大切なのは「知っているか」より「惹かれるか」。
最初の一歩は、ただページを開いてみることです。
たとえば、ふと目に留まった知らないことば。見たこともない建築の写真。
そのひとつが、心のどこかにひっかかるだけで十分です。
図鑑は、順番通りに読まなくてもいいし、最後まで読まなくてもいい。
答えを求めるより、問いや余韻を楽しむ時間のほうが、むしろ贅沢だったりします。
知識はあとから自然についてくるもの。まずは「感じる」から始めていい。
図鑑は、そんなやさしい入口を、いつでもそっと差し出してくれる本なのです。
それではここからは、おすすめの図鑑を5つのテーマに分けてご紹介していきたいと思います。
※なお、タイトルに”図鑑”と明記されていないものも、図鑑の形式に近いものは、”図鑑”として紹介させていただきます。
大人におすすめの「図鑑」15選 ~文系編~
1.「芸術」が好きなあなたへ
西洋絵画 風景をめぐる 12か月 瀧澤 秀保 (監修)

名画に描かれた風景に注目すると、見慣れた絵にも新しい発見が生まれます。本書では、歴史・技法・舞台・秘密・謎・逸話・自然の7つの視点から、巨匠たちの風景画を読み解きます。モネやゴッホ、フェルメールなど、おなじみの名画に隠された想いや背景を知ることで、絵画の世界がぐっと深く感じられるはず。芸術がもっと身近に、もっと面白くなる一冊です。絵を見るのが好きな方にも、旅や自然が好きな方にもおすすめです。毎日1ページずつ読むことで、1年後にはあなたも名画通になっていること間違いなしです。
世界でいちばん素敵な浮世絵の教室 岡部昌幸 (監修)

2025年の大河ドラマ「べらぼう」で話題の浮世絵。本書は、浮世絵の魅力や楽しみ方を一問一答形式でわかりやすく紹介してくれます。北斎や写楽、歌麿など名だたる絵師の作品もたっぷり掲載。「浮世」ってどんな意味? 美人画のモデルって誰? そんな素朴な疑問にも丁寧に答えてくれます。浮世絵の奥深さと美しさを気軽に味わえる、入門にもぴったりの一冊です。
北欧の挿絵とおとぎ話の世界 海野 弘 (監修, 解説)

今も愛され続ける北欧文化。その魅力を、幻想的な挿絵を通して味わえる一冊です。ムーミンやアンデルセン、ニルスの旅など、誰もが一度は出会った物語の世界を彩った挿絵に注目。美しいお姫様やトロール、バイキングたちが生きる、森や湖に囲まれた幻想的な風景が広がります。物語を支えてきた挿絵画家たちの個性あふれる作品とともに、北欧の伝説やおとぎ話にも触れられます。絵をながめるだけでも、北欧の空気がふっと届くような、美しい文化の入り口となる一冊です。
2.「哲学」が好きなあなたへ
イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 哲学 青木滋之 (監修)

哲学ってむずかしそう…と思う方にこそおすすめの、図解でやさしく学べる入門書です。ソクラテスやアリストテレスから現代のサンデルまで、哲学者たちの考えをイラスト付きでやさしく紹介。「無知の知」や「我思う、ゆえに我あり」など有名な言葉の意味もすっきり理解できます。「トロッコ問題」や「世界5分前仮説」など、話題の思考実験も豊富に掲載。
難しさを感じる前に、まずは図をながめるだけでもOK。哲学がぐっと身近になります。
哲学の解剖図鑑 小須田 健 (著)

イラストたっぷりで、考えながら読むのが楽しくなる哲学入門書です。「幸せってなに?」「正義ってどう考えたらいいの?」そんな身近な疑問に、哲学者たちが答えてくれます。1つの問いに対し、異なる3人の哲学者の考えを読み比べることで、思考の広がりも体感。プラトンからハイデガーまで、時代も立場も違う哲学が、やさしい言葉と図解でぐんぐん頭に入ります。眺めるだけでも、哲学の世界が少し身近に感じられる一冊です。
超訳 哲学者図鑑 富増章成 (著)

「もし自分がこの哲学者だったら、どう考える?」世界の哲学者たちの思考をヒントに、問題の捉え方や答え方を体験できる一冊です。練習問題を通して、思想の“使い方”が自然に身につきます。難しい哲学を、教養としてやさしく知りたい人にもぴったり。図やイラストも豊富で、無理なく哲学の感覚がつかめます。
3.「ことば」が好きなあなたへ
見て楽しむ ことば図鑑 みっけ (その他), 天野慶 (その他)

SNSで話題の人気イラストレーター・みっけさんがデザインを担当した、楽しく美しい「ことば図鑑」です。自然、食べ物、想い、関係、冒険など100のテーマに分かれ、合計4,190語ものことばが色鮮やかなイラストとともに紹介されています。歌人・天野慶さんが選んだことばの意味を丁寧に解説しているので、ことばの世界を深く味わえます。小説や詩、イラスト制作のアイデア探しにもぴったりで、眺めているだけで創作意欲がわいてくる一冊です。ことばに興味がある方やデザイン好きな方へのプレゼントにもおすすめです。
一生忘れられない言の葉図鑑 気持ちを言語化する美しい詩と写真 浅夏 レイ (著)

SNSで話題の美しい日本語を、まるで映画のワンシーンのような写真とともに味わえる一冊です。季節ごとの繊細な言葉や、色・天気・感情にまつわる163種類の日本語が収録されており、普段はあまり使わないけれど、一生覚えておきたい深い意味と趣があります。詩人・浅夏レイ氏の書き下ろし詩も特別収録され、言葉と写真の組み合わせが「エモい」とSNSでも話題に。日常の何気ない瞬間を美しく彩り、心に響く言葉の世界を楽しめる一冊です。
翻訳できない世界のことば エラ・フランシス・サンダース (著), 前田 まゆみ (翻訳)

ひと言では訳せない、でも確かに“感じたことがある”そんな世界中の〈ことば〉を、美しいイラストと共に紹介する一冊です。「ボケっと」「積ん読」など、日本語のことばも含めて、その背景にある文化や感情がやさしく描かれています。感性に触れる読書を楽しみたい方や、ことばの余韻を楽しみたい方へ。2016年初版ながら、いまもなお多くの人に愛されているロングセラーです。
4.「建築」が好きなあなたへ
世界の名建築歴史図鑑 五十嵐太郎 (著)

建築の歴史やトレンドを、古代ギリシア・ローマから現代まで幅広く網羅。見開き1ページごとに、写真や図とともにキーワードをやさしく解説しています。建築様式・思想・運動など、135のテーマから建築の流れが自然とつかめる構成。初心者でも気軽に学べ、建築の基礎から「タクティカルアーバニズム」や「マンションポエム」まで楽しめます。西洋と日本、両方の視点を持つ建築好き必携の一冊です。
英国建築の解剖図鑑 マシュー・ライス (著), 中島 智章 (監修), 岡本 由香子 (翻訳)

英国で長年愛されてきたベストセラー建築図鑑が、ついに日本版で登場。ノルマン様式からモダニズムまで、英国建築の特徴を温かみのあるイラストと手描き文字でやさしく紹介しています。各建築パーツは英文でも併記されており、学習や創作資料としてもぴったり。眺めているだけで建物と友達になれるような、親しみやすいガイドブックです。建築初心者からドラマ・小説好きまで、幅広く楽しめる一冊です。
看板建築 昭和の商店と暮らし 萩野正和 (著)

「看板建築」という言葉、ご存じですか? 関東大震災後の東京で多く建てられた、正面を華やかに飾った商店建築のことです。本書はそんな昭和レトロな「看板建築」の魅力を、写真と取材で丁寧に紹介しています。現存する店舗へのインタビューに加え、失われた建物の貴重なアーカイブも掲載。懐かしい昭和の暮らしに思いを馳せる、味わい深いビジュアルブックです。
5.「デザイン」が好きなあなたへ
366日 ヨーロッパの伝統色図鑑 荘 真木子 (著), 塚本 由紀江 (著), 橋本 実千代 (著)

ヨーロッパの伝統色を“1日1色”めぐる、小さなビジュアル図鑑。風土や歴史、芸術から生まれた366色を、美しい写真や絵画とともに紹介します。色の名前の由来や背景を知ることで、色に込められた物語がより深く味わえます。CMYK・RGBの数値付きで、創作にも役立つ一冊。装丁も美しく、棚に飾るだけでインテリアのアクセントに。巻末の色一覧から、気になる色を探して読み進めるのもおすすめです。
紋の辞典 波戸場 承龍 (著), 波戸場 耀次 (著)

日本独自の美が詰まった「家紋」を、図解と共にじっくり味わえるビジュアル辞典。江戸時代に多彩な種類が生み出され、職人の手で正円と直線だけで描かれたシンプルで奥深いデザインの世界に迫ります。モノトーンで統一されたページはシックで美しく、「紋曼荼羅®」で作図の仕組みも視覚的に理解できます。現代の紋や逆引き索引も収録され、知的好奇心を刺激。日本文化に興味がある方や、海外への贈り物にもおすすめの一冊です。
世界ピクト図鑑 サインデザイナーが集めた世界のピクトグラム 児山啓一 (著)

2020年東京オリンピックで注目されたピクトグラムを、世界26か国80都市の約1000点の写真で紹介する図鑑です。駅や空港のサインデザイナーである著者が、国ごとの表現の違いや文化の特徴をわかりやすく解説。非常口やトイレなどの項目別や国別に見比べられ、海外旅行の際にも役立ちます。専門家の視点と旅行者の感覚が融合した、親しみやすい一冊です。近年は海外旅行や国際交流が回復傾向にあり、こうしたピクトグラムの理解がより重要になっています。文化の違いを感じながら、安全で快適な旅をサポートします。
いかがでしたか?

UnsplashのAnuja Tiljが撮影した写真
言葉の意味や歴史、芸術や建築の世界をやさしく楽しめる「大人向けの文系図鑑」。難しい本を読むのはちょっと…という方でも、きれいな写真やイラストを見ながらパラパラめくるだけで、知らなかった世界がすっと心に入ってきます。哲学の名言や海外の文化、文学の舞台になった場所など、知識として覚えるよりも感じて楽しむのがポイント。最近は見た目もおしゃれで、まるでアートブックのような図鑑も増えているので、「教養って堅苦しい」と思う方でも気軽に読めます。大人になってからの新しい発見や楽しみとして、皆さんも手に取ってみてはいかがでしょう?
最後までお読みいただきありがとうございました。














