【読んで味わう】おすすめグルメ系コミックエッセイ10選
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はじめに

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おいしいもの、お好きですかーー?

忙しい毎日の中で、ほっと一息つきたいとき。何かおいしいものが食べたいけれど、外に出る気力はない…。そんなとき、そっと手に取りたくなるのが「グルメ系コミックエッセイ」です。

作家本人の体験が描かれたリアルな味わいや、ちょっぴり笑える日常、ごはんを通じて紡がれる人とのつながり。読むだけで心があたたまり、お腹もぐぅっと鳴ってしまう…そんな魅力が詰まっています。

今回は、そんな“読むグルメ”なコミックエッセイの中から、おいしいもの好きの私が特に心惹かれた作品をご紹介します。

 

グルメ系コミックエッセイとは?

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「コミックエッセイ」とは、作者自身の実体験や日常の出来事を、イラストや漫画の形式で綴ったエッセイ作品のこと。
小説でも、フィクションでもなく、リアルな“わたし”が主人公。日常のちょっとした気づきや出来事が、軽やかで親しみやすいタッチで描かれるのが特徴です。

そんなコミックエッセイの中でも、近年人気が高まっているジャンルが「グルメ系コミックエッセイ」
料理をする、食べに行く、誰かと食卓を囲む——
“食べること”を軸に、作者の日常や人生、時にはちょっとした失敗談や感動までが、ユーモアと共感を交えて描かれます。

グルメ漫画のような華やかな展開や劇的なドラマはないかもしれません。
けれどそこには、誰の暮らしにもあるようなリアルな“食”の風景と、それを通じて浮かび上がる人となりが詰まっています。

お店の紹介やレシピが載っている作品も多く、実用的に楽しめる一方で、何気ない一皿からにじみ出るあたたかさに、読んでいて心がふっとゆるむような感覚も魅力。

疲れたとき、なんとなく気持ちが沈んでいるとき。
グルメ系コミックエッセイは、そんなときにこそ手に取ってほしい“読むごはん”
お腹だけじゃなく、心までじんわり満たしてくれる──そんな存在です。

 

”グルメ漫画”と何が違う?

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どちらも「食べること」をテーマにした作品ですが、「グルメ漫画」と「グルメ系コミックエッセイ」は、その成り立ちや楽しみ方に大きな違いがあります。

まず、グルメ漫画は主にフィクションの世界
架空のキャラクターやストーリーを通じて、食材の魅力、料理の奥深さ、食にまつわるドラマなどが描かれます。たとえば『美味しんぼ』『孤独のグルメ』『異世界食堂』などが代表的。ストーリー性やキャラクターの成長、時にはグルメバトルなども加わり、読んでいてワクワクするようなエンタメ性が魅力です。

一方で、グルメ系コミックエッセイは、エッセイ=実録もの
多くは作者自身が登場し、自分の体験をもとに「食べたこと」「作ったこと」「食べながら考えたこと」などを描きます。『胃弱メシ お腹にやさしいグルメコミックエッセイ』『愛しのローカルごはん旅』『カタノトモコのぐるぐるグルメ日記』など、共感やユーモアを大切にした作品が多く、読者にとって身近で親しみやすいのが特徴です。

絵柄も対照的で、グルメ漫画は通常のストーリー漫画形式で描かれるのに対し、コミックエッセイゆるいタッチや4コマ形式短編などが中心。
文章とイラストが軽やかに交互するため、さっと読めて、ほっこり癒されるような読後感があります。

Point!
・グルメ系コミックエッセイは、「読んで共感する“リアルなごはん”」
「ほっこり癒されたいとき」や「自分の生活に重ねて味わいたいとき」におすすめです。

・グルメ漫画は、「読んで楽しむ“物語のごはん”」

 「ストーリーを楽しみたいとき」におすすめです。

どちらも“食”の魅力をたっぷりと伝えてくれますが、届け方のスタイルが異なるため、気分に合わせて読み分けるのもおすすめです。

 

どんな時に読みたい?気分で選ぶ”読むごはん”

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食欲はあるけど、料理をする気力はない。
なんとなく気分が沈んでいるけど、がっつりドラマを観る気分でもない——
そんなとき、グルメ系コミックエッセイはそっと寄り添ってくれます。

レシピを知りたいときには、料理の工程が丁寧に描かれた実用系。 ひとりごはんがさみしい日は、誰かの“おいしいひとり時間”を描いた作品を。 気持ちを切り替えたい夜には、お酒とつまみで気分を上げるゆる呑み系もおすすめです。

ページをめくるたび、湯気や音や香りがふんわりと立ちのぼる。読むだけで、少し気分がやわらぎ、「何か作ってみようかな」「ちゃんと食べようかな」そんな気持ちになれる。グルメ系コミックエッセイは、“読むごはん”という名の小さな元気の素です。

 

それではここからは、おすすめのグルメ系コミックエッセイをご紹介します。

※なお、厳密にはコミックエッセイの定義に当てはまらないものも一部ご紹介させていただきます。

 

おすすめグルメ系コミックエッセイ10選

眠れぬ夜はケーキを焼いて 午後 (著)


眠れない夜、なんとなく不安な夜に。
「眠れぬ夜はケーキを焼いて」は、そんな時間にそっと寄り添ってくれるコミックエッセイです。作者・午後さん自身の“眠れない夜”の過ごし方と、あたたかな12のレシピが、読み手をやさしく包みます。お菓子作りが苦手な人でも楽しめるよう、気負わず作れる工夫もたくさん。眠れない自分を責める代わりに、「こんな夜もあるよね」と思わせてくれる一冊です。

 

1年のいたわりごはん日記 がんばれなくてもなんとか作りたい 中山有香里 (著), ほりえさちこ (その他)

がんばれない日でも、おいしいごはんで自分を労わってあげたい。2年連続「料理レシピ本大賞」受賞の著者が贈る、初のコミックエッセイです。遅く帰った夜や、ちょっと贅沢したい休日にもぴったりのレシピが満載。季節ごとに並ぶ料理とエピソードは、忙しい日々の中でも四季を感じさせてくれます。レンジ調理など、無理なく作れる工夫がうれしい一冊です。

 

おばけのおいしいひと休み のもと しゅうへい (著)

がんばりすぎて、心が疲れてしまったあなたへ。気づけばおばけになっていた「僕」が、何気ない食事のひと口ひと口から、少しずつ自分の輪郭を取り戻していく物語です。はじめは質素で静かなごはん。でもそのぬくもりが、しぼんでいた気持ちにふっと息を吹き込んでくれる。15のあたたかいレシピと、日々をやさしく整えるヒントも収録。食べることすらつらい時に、そっと手を差し伸べてくれる一冊です。

 

泣きたい夜の甘味処 中山 有香里 (著)

夜だけひっそりと開く、熊と鮭が営む不思議な甘味処。 シュールな設定とは裏腹に、疲れた心にそっと寄り添う温かい物語が詰まっています。夢をあきらめた夜や、自分を責める夜に訪れる人々と、それぞれに添えられた甘いお菓子の話。読んでいるうちに、思わず涙がこぼれてしまう優しい世界観です。描き下ろしの52ページと11のレシピも嬉しい、心癒される一冊。

 

星のみえない夜は砂糖菓子につつまれて まつざきしおり (著)

心が沈んだ夜に訪れたい、小さな喫茶店「喫茶星屑」
店主の女の子から受け取る、見た目もかわいらしい、夢のような砂糖菓子のレシピが心をそっと癒します。ふんわり柔らかなイラストとともに、目にも楽しいお菓子の物語が広がります。「空と月のレモンスカッシュ」「きらめくいちごのお手紙クレープ」など、どれも思わず作りたくなるかわいさ。甘くて優しい気持ちになれる、愛らしいコミックエッセイです。

 

私の好きな喫茶店で ニシイズミ ユカ (著)

情報にあふれた毎日に、ちょっと立ち止まる時間をくれる一冊。
喫茶店という小さな世界を通して描かれる、静かで温かな日常に、ふっと心がほどけていきます。 ページをめくるたび、まるで自分も常連客になったかのような気分に。忙しない日々の中で“私に戻れる時間”を探している方に、そっと寄り添ってくれる本です。読み終えたあと、思わず珈琲を淹れたくなるような余韻も魅力です。

 

ごはんが楽しみ 井田 千秋 (著)

「今日は何を食べよう?」そんな小さな幸せから始まる、食べるよろこびの物語。ツナチーズトーストや苺大福トーストなど、どの料理もとびきりおいしそうで、思わずお腹が鳴ってしまいそう。かわいい食器や、お気に入りのダイニングテーブルといった日常の風景も丁寧に描かれ、暮らしの楽しさが伝わってきます。食が好きな作者の気持ちがあふれる、あたたかくておいしいエッセイ漫画です。

 

キッチンに住みたい サトウユカ (著)

キッチンは、食べるだけじゃなく、人生のドラマが生まれる場所。
6人の女性たちの個性あふれる「キッチンと暮らし」が、あたたかく描かれます。 猫と過ごす日々、DIY、お母さん卒業、一人旅…。それぞれのキッチンには、その人らしい工夫や想いがたっぷり詰まっています。レシピや収納アイデアも満載で、読めばきっとキッチンがもっと好きになるはず。

 

季節が好きなわたしとマダム にいざか にいこ (著)

季節のうつろいを味わいながら、心豊かに暮らすふたりの物語。年の差をこえて出会ったキコとマダム節子が、四季の楽しみを分かち合います。薬味おにぎりや金柑の甘露煮など、身近な素材で作れるレシピも満載。私も「フルーツ水まんじゅう」を作ってみましたが、透明感のある見た目と、もちっとした弾力、フルーツとあんこの調和がとてもおいしかったです。読めばきっと、毎日の空や風の香りに目を向けたくなる一冊です。

 

ハラヘリ読書 宮田 ナノ (著)

文学の中に登場する「食べもの」を、ユーモアたっぷりに味わうコミックエッセイ。森茉莉の“シュウクリイム”、村上春樹の“オムレツ”など、名作に登場するおいしい一品が次々と登場します。食いしん坊な著者の、ちょっと茶目っ気のある視点がたまらなくおかしくて、ついクスッと笑ってしまう場面も。難しそうに思える古典や文豪たちも、ぐっと身近に感じられます。読めばきっと、お腹も心も満たされる、たのしい“読書ごはん”の一冊です。

 

いかがでしたか?

 

誰かのキッチンに立ち会ったり、日常の一皿をのぞき見たり。 グルメ系コミックエッセイは、「食べること」と「生きること」のあいだにある、ちょっとした感情のゆらぎや、心の声までもすくい取ってくれます。

豪華なごちそうじゃなくてもいい。
即席ラーメンや冷蔵庫の残り物だって、その人にとっては大切な一食。
くすっと笑ったり、思わずうなずいたり、時には泣けてしまうことも。

レシピ本としてだけでなく、ちいさなエッセイとして、人生のスパイスとして。
心とお腹の両方を満たしてくれる、そんな“おいしい読書”を、あなたの食卓にも、そっと、添えられたら。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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